センパイ、手を繋ぎましょう
放課後となり俺は七瀬と一緒に帰っている。
「センパイ、今日の学校生活もお疲れ様でした」
「お疲れさん。まぁあと4日行かないといけないけどな」
月曜日の学校は休み明けとあって5日間の中で一番長く感じる。
「しかし、今日は特に疲れたなー。月曜日って一番時間が長く感じない?」
「分かります。土日の2日間で身体が鈍っちゃうんですよ。私も授業が長く感じました……」
「ちなみになんの授業?」
「……化学です。センパイ、今絶対ワザと聞きましたね。化学のことは思い出したくなかったのに……」
「豚の目の解剖だっけ?」
「1秒前に言ったこと覚えてます?」
豚の目を解剖している七瀬の様子が気になって仕方がないが、これ以上聞くと機嫌を悪くするのでいじるものここまでにする。明日、トミツムに聞こう。
「じゃあ話を変えて——」
「センパイ、センパイ」
「ん?」
「手を繋ぎましょう」
「へいへい」
差し出された手を握ると七瀬は「えへへ♪」という声を出して喜んでいた。こういう無邪気なところも可愛いんだよな。
「それでさっきの話はなんですか?」
「七瀬学校は好きか?」
「随分唐突ですね」
「なんか思いついた」
「そうですねー。私は学校は好きですよ。センパイは好きですか?」
「まぁ退屈はしないな」
たまに面倒くさいと思う授業。騒がしいクラスメイト。賑やかな後輩。そして何より一番大切で大好きな彼女がいる。
退屈とは無縁に感じる。やっぱり好きなんだな、この日常が。
「私はセンパイがいるから退屈しません。もちろんトミとツムもですが」
「そうだな。俺も騒がしい友達がいるのと、七瀬がいるからだな」
「これからもこんな幸せな日々が続いてほしいです」
そう言った後、手をギュッと強く握られた気がした。
「ほしいじゃなくて、続くだろ?俺が一生幸せにしてやるよ」
「センパイのそういう大胆発言、好きです♪」
「ありがとよ」
「でもセンパイ。私、浮気なんてしたら許さないですからね?」
「浮気なんてするわけないだろ? つか、浮気したら命が危ない気がする……」
「大丈夫ですよ、命までは取りません。……まぁ私以外が視界に入らなように数日間監禁するとは思いますが」
「最後ボソッと言った言葉相当ヤバかったぞ!?」
七瀬に監禁されるか……。ヤバいような、ご褒美のような……。
「というか七瀬も浮気すんなよ」
「しませんよ。私はセンパイ一筋ですから♪」
「俺も七瀬一筋だ」
お互いの意見が合い、顔を見合わせて笑う。
これが俺と七瀬の、微ヤンデレ彼女との幸せな日常だ。
【完結】微ヤンデレ後輩彼女、七瀬ちゃんっ! 悠/陽波ゆうい @yuberu123
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