くしく怪しき綾を織る はでやかなる色したる(坪内逍遥 訳)
- ★★★ Excellent!!!
伝わらないかもしれないが、この作品はアルフレッド・テニスンの「シャロット姫」のような、機を織ることに対する悲愴が含まれている。
布を織り続けた先には、何も残らない。千切れた糸が散らばるのみ。
つまり、その行為自体は、全く意味のない形式的なものなのだ。
しかし、布を彩る模様は語る。口よりも雄弁に、言葉よりも鮮明に。それが何とも虚しく、そして切ない。
しかし、シャロット姫は一人で機を織ったが、ラオとエギは二人で機を織った。
それが、この作品の優しさなのかもしれない。