「柏恵美」を中心に繋がる物語

　この作品は、柏恵美という女性を中心とする事件や物語を描いた、現代ドラマ小説です。
　この柏さんというキャラクターがかなりの曲者で、心の底から他人に殺されたがっています。

　なぜそのような願望を抱くことになったのか。彼女の出生から現在までの出来事や関わりが、様々な物語を生み出していくのです。

　全編通してなのですが、変な人がたくさん出てきます。どこか普通じゃない。普通の基準がわからなくとも、どこかひっかかるキャラクター。
　この作品はそれらの人物を描くのが素晴らしく上手だったな、と私は考えます。十人十色のやばいやつ。

　そしてこの物語の一番面白い(と、私が思っている)ところは、この様々なキャラクターが事件や出来事を通して繋がり、様々な変化を見せてくれるところです。
　それぞれの繋がりが丁寧で、かつ驚きがあり、そして納得があります。

　ぜひ各それぞれの章を読み進めて、変わったものや、変わらなかったものを、みなさんに見届けてほしいですね。

　個人的には、ホラーやミステリーが好きな方もそうですが、人間ドラマそのものが好きな方に、強くオススメしたい作品でした。