最高最悪ギルドへようこそ！

ギルド長のつぶやき。

　人間には魂の輝きというものがある。

　生まれたときは無垢な白色でも、そこにジワジワと色んな色が湧き上がってくる。

　一番いいのは血の中に黒色を少し流し込んだような、深い深い紅色。

　このギルドに入れる連中は皆、紅の八塩のような、少し明るめの深い紅色をはじめの頃はしている。けれど、それじゃ駄目。

　もっと深く、もっと闇に、けれど紅の輝きは忘れずに。

　そんな魂が望ましい。

　追い詰められて、恐怖して、怒りや焦りもありながら、最後には救われ安堵する。

　魂の中心を黒く黒く染め上げて、最後には紅い輝きを面に残す。

　そこに導くためのこのギルドだけれど、収穫の効率が少々悪いところが玉に瑕ね。

　それに、最近は簡単なクエストが少なすぎて、クエストを集めるのにも一苦労だわ。

　まぁ、その原因を作っているのがこのギルドなのだから仕方ないのだけれど。

　集めた魂はランクによって、それぞれにふさわしい魔神や悪魔、魔王に購入していただく。

　魂はいわゆる力の源だから、強さを求めるものはどんなに高価であろうとも、購入していってくださる。

　悪い魂っていうのはそこら辺に転がっているけれど、うちのギルドのように磨き抜かれた、美しい輝きの魂っていうのはなかなか手に入らない。

　収穫効率が悪いけれど、それも希少性ということを考えれば、まぁ、仕方ないわね。

　希少価値が有るからこその、高価販売。

　魔の者たちは力を手にし、私は金を手にして、人間もまたそのおこぼれを頂戴している。なんて理想的な循環。

　とはいえ、このところ魔の力が強くなり過ぎているから、おそらくそろそろ神や女神の類が勇者だなんだと掘り起こしそうね。

　まぁ、だとしても、私の商売は揺るがないだろうけど。

　今回は、今のところ２人。あと何人逝ってくれるかしら？

　人間って喜楽を与えれば、すぐに気が緩んでダメになるからありがたい。

　ん？　あと１人増えるかしら？

　……。

　あら、残念。

　普通は途中で諦めちゃうもんだけど、粘ったわね。

　これはきっと最高級の魂になるわ。

　でも少し厄介ね、人間って学習するし、危機的状況を体験すると慎重になっちゃうのよね。

　ふふっ、そうね、あと数回は泳がしてから回収しましょう。

　今日は２個。

　でも、ギルド員が６名も増えたから良しとしましょう。

　やっぱり魔女なんてやってられないわよね、魔悪女のほうがずっと楽しくお仕事できちゃうもの。

　さぁ、頑張って稼がなくっちゃ！