第8夜 手
改造の済んだ左腕を見る。
以前のような温かさはない。
もう片方の生身の腕で触ると金属の冷たさと無機質な感覚だけが返ってくる。
この手で誰かを殺めるのか。
ちょっと考えてから考える事を止めた。
数日置いた梅雨のタバコの吸い殻のように湿気た気分。
掌を開いて、閉じる。何度か繰り返して暖かくなった椅子から立ち上がる
サイバーパンク及びSF風短編集 ウミウシは良いぞ @elysia
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