うちゅうねこ

にわ冬莉

うちゅうねこ

うちには、「ひなた」というなまえのねこがいる。

ぼくはおもう。

ひなたは、うちゅうねこだ。


ときどきじっとそらをみあげているのは、うちゅうとこうしんしているからにちがいない。

ひなたがみているほうをみても、てんじょうがあるだけでなにもいないもの。

きっとちょうおんぱでうちゅうじんたちとはなしをしているんだ。


ひなたはあさおきるとぼくにすりよってくる。

ぼくがしゃがんでひなたのあたまをなでると、ゴロンとおなかをみせてのどをならすんだ。

ゴロゴロゴロ…

これはきっとうちゅうごにちがいない。

ねこのことばは「にゃあ」だもの。

だけどひなたはあんまり「にゃあ」とはいわない。

いつもゴロゴロのどをならす。

やっぱりうちゅうねこなんだ。


それから、ひなたはまどからそとをながめるのもすきだ。

じっとなにかをみている。

とおりすぎるひとをみてるのか、はしってるくるまをみてるのか。

もしかしたら、にんげんのめにはみえないビームをだしているのかもしれないな。

だってうちゅうねこなんだもん。


ひなたはときどき、ゲッゲッとけだまをはきだす。

おなかにたまったじぶんのけをだすんだっておかあさんはいってた。

でも、まてよ。

ほんとうはちきゅうのたべものがからだにあわなくてぐあいがわるくなったのかも。

かつおぶしだいすきなふりしてるけど、ほんとのほんとはうちゅうしょくがたべたいのかもしれないな。

だってひなたはうちゅうねこ。


ひなたがうちにやってきたのは、ぼくがうまれるずっとまえなんだって。

ひなたにはおうちがなくて、よわってまいごになってたのをおかあさんがみつけてびょういんにつれていったんだって。

そしてそのままうちのこになったのよ、って。

おかあさんたら、だまされてるよ。

ひなたはうちゅうからきた、うちゅうねこなんだもん。

まいごになんかなってないよ。

きっとうちゅうせんにのってやってきたんだ。

そして、そう、ぼくにあいたくておかあさんについてったにちがいない。

ぼくがうまれてくることもしっててさ。

だってほら、ひなたはきょうもぼくにすりよってきてる。

ぼくのことだいすきなんだよ。


ぼくもだいすきさ。

だってぼくのひなたは、うちゅうねこなんだからね!

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