このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(103文字)
作品紹介は簡潔に、そして危機を煽ります。本文も紹介に違わず、大混乱する現場を描写します。スピーディーに、そして雑なところがなく丁寧に。実に良質なパニックムービー。短いながらも心にひっかき傷を残す読後感。キーワードに「何言ってんだこいつ」とあるように、パニックムービーは少しおかしいくらいがいいんです。
ある日突然、ひらがなが襲いかかってきた。そのひらがなに触れた人間はみな、頭文字が同じものに変化させられる。たとえば「す」に触れたなら「酢だこ」「すいか」「スギ花粉」など。銃で撃っても傷つかない、捕まえようにも触れた時点で変化してしまう。対処法が一切わからないまま、被害はどんどん大きくなっていく。そして今、多くの生徒たちが通っている学校に……「さ」がやってきた。果たして、生き残ることができるのか