英国の空気に包まれて、二人の少年と怪事件を推理する

英国のグランリッド大学に入学した主人公と、ルームメイトである魔法使いの少年たちが怪事件の真相解明に挑む物語。

主人公、ヘンリーは念願であったグランリッド大学の物理学部に入学する。
ヘンリーは不安を抱きながらも大学寮に向かい、そこでルームメイトと出会う。
ルームメイトである赤いロングコートを着た美少年、ウルフが出会って早々に一言、「私は魔法使いです」。
それから魔法使いのウルフとヘンリーの大学生活が始まる。
読書家で酒が滅法強いけど、朝は苦手なウルフと交流を深めるヘンリー。
そんなとき、「魔法使いに呪いをかけられた」と言う一人の学生が怪我を負い、そして魔法使いの入学に反対していた教授が死亡する事件が起きてしまう。
ウルフへの疑惑を晴らすため、ヘンリーは事件の真相解明に乗り出すが……。

本作の特筆すべき点は、舞台である英国の雰囲気を強く感じられるということです。
アガサ・クリスティーについての会話や、作中に登場する麦酒は「エール」など、細かいところまでこだわりが感じられます。
作品の随所に作者様の造詣の深さが散りばめられており、それを発見していく楽しさもあります。

ヘンリーの一人称で綴られる文章も読みやすく、重要人物であるウルフを神秘的かつ魅力的に描写しています。
機知に富んだ会話も楽しく、作品全体から英国の香りが漂っているようです。

イギリス文学が好きな方、ミステリ好きの方、魔法使いが好きな方、ぜひご一読ください!