【 エピローグ:ふたりの未来へ 】


『バシャーーッ!』


 水飛沫が激しく上がり、太陽の光にキラキラと輝く。


「ぷふぁーーっ!」


 顔を出した彼女は、髪を振り乱して水を勢いよく弾き飛ばした。

 お互い、川の中から顔だけ出して、あの時と同じように向き合う。

 あの時と同じ。お互い、髪まで濡れて、雫が滴り落ちている。


 ふたりの時間が止まり、しばし見つめ合う……。


『にゃ~』


 高々と上げた左手の中にいるミーが一声上げると、また時間が動き出した。

 この子猫が、再びふたりに出会いをくれた。


 ミーの声を皮切りに、ビショ濡れになったお互いの顔を見て、僕らは思わず吹き出す。


「ぷっ……」

「うふふっ……」


「濡れちゃったね……」

「濡れたね……」



 彼女の笑顔が、この青い夏の空に輝いた。

 爽やかな風に乗って、遠くから心地よい蝉の鳴き声も聞こえてくる。



 僕たちは、自らの手で運命を変えたんだ……。



 この『出逢い橋』の下で。



 これから、ふたりの未来を、自分たちの手で作り出すために……。




『にゃ~』






~ミライガミエルノ~



(了)



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ミライガミエルノ 星野 未来@miraii♪ @Hoshino_Miraii

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