〝癒し〟というもの

 ある日突然、不思議な治癒能力を身につけた人が、それを一体どうしたものか思い悩む物語。

 現代ものの、すこしふしぎなホラー作品です。
 最後の最後、答え合わせでヒエッとなるタイプのお話。
 その詳細についてはここでは触れませんけれど(ネタバレになるので)、ヒエッと背筋が冷えました。

 序盤から中盤までは主人公の煩悶、急に身についた謎の能力に関する考察なのですけれど、その思い悩む様が好きです。
 迷いなく「異能」と呼んだり、「異世界転生もののお話だったら」と考えてみたりと、その思考のありようそのものが今風というか、主人公自身の人格を表している感覚が楽しい。
 SNSに上げてみようか、という発想も、SNS中毒の自分としてはなんとなく親近感が持てたり。

 約3,500文字程度のコンパクトなショートショートながら、独特の怖さのあるお話でした。