優柔不断な俺は君より我が儘さ

本当に高校生なのかしらと驚愕する。
社会を切り取ったような作風。
私小説っぽい現代ドラマ。

主従関係にある二人の距離感の描き方がいい。
主人公の兎羽は、依存する性格があるのだろう。
相手は特にガサツでSな人間に。
おそらく、田舎の幼馴染の井川和葉の影響と思われる。

心療内科で働く沙璃奈さんは主人公を治療しながら色香込みで惑わせて家事をさせるように手なづけたのではと邪推する。

沙璃奈さんの誕生日に送ったコップが割れたのは、二人の関係を象徴しているのだろう。
このまま死を選ぼうとするとき、和葉から「助けて‼」と声を聞いて助けに行く。
コップが割れたことで、主従関係を終えることができたのだろう。
玄関で顔を見合わせ、主人公も幼馴染も、ようやく助けてと言えたのだ。
とりあえず洗濯機のプラグを抜いて、怪我の手当をしよう。