true of 口裂け女

映木

第1話 口裂け女

私は、高校二年生で、新聞部に入部している、間宝戸あいり。


シングルマザーで看護師のママと、祖父が亡くなったので、半年前から大阪から来た祖母を引き取り、三人で暮らしている。


「 あいり、今日も部活?あなたちゃんと勉強しているの?」

ママは、うるさい。


「 してるわよ!部活も大切な勉強なのよ

でないと、夏休みなのにわざわざ学校に行かないわよ!」


私の学校の新聞部は、多くの賞を取っている、全国でも有名な新聞部です。


「 行ってくるね 」


( 気をつけてね )

祖母が、手話で言った。

祖母は、言葉が不自由なので祖母とは手話で会話をしている。私は、高校を卒業したら、手話をする職業に就きたいと思っているので、新聞部でいろんな知識を身に着けたいと思っている。


私は、家を出て学校に向かった、学校まで約10分。自転車を止めて私は、部室に入った。


「 おはよー 」


「 あいり!凄い情報が入ったわよ 」

彼女は、同じクラスメイトで新聞部の

森之宮ことの。


「 ことの!朝からテンション高いわね、何があったの?」


「 7組の、田辺しおりの情報よ」

田辺しおりは、半年ほど前から行方不明になっている子だ。


「え!田辺さん?あの子は、家出をしたんじゃないの?」


「 それが、失踪する前に、赤いコートを着てマスクをしている女と会っているのが、目撃されていたのよ 」


ことのは、興奮していた。彼女は、新聞部の中でも超常現象、都市伝説などが大好きだった。この手の記事を得意としていた。


「 赤いコートとマスク!それが何?」

私は、ことのが何を言っているのかよくわからなかった。


「 この特徴によく似ている、都市伝説の怪人、口裂け女よ!」

ことのは、嬉しそうに言った。


「 口裂け女なんて!何十年前の都市伝説なのよ?」

私は、信じられなかった。


「 復活したのよ。口裂け女が 」


「 そんな事ありえないわよ 」


「 それが、そうでも無いんだよ間宝戸さん 」


「 あっ 部長 」

彼は、三年生で新聞部部長の佐々木先輩


「 他の学校でも、表沙汰には、なっていないが、行方不明になっている子いるんだよ。それに、赤いコートの女の目撃情報が、森之宮さんが言った以外にもあるんだ 」


「 そうなんですか!」

私は、少し驚いた。


「 部長、このネタ私達に調査させて下さい。良い記事になりますよ 」

ことのは、張りきって部長に言った。


「 わかった、でもくれぐれも気をつけるんだよ。無茶をしないように 」


「 わかりました 」


私と、ことのは、スマホで検索して口裂け女の情報を集めノートに書き写した。


「 たくさんあるけど、全国共通で一致しているのは、これね 」


⚫ 赤いコートを着ている


⚫ 私きれいと聞く


⚫ マスクをしている


⚫ 口が裂けている


⚫ ポマードと言ったら逃げる


⚫ 岐阜県発祥


「 マスクなんて今の時代は、誰でも着けているので関係ないわね。赤いコートも目撃されているし、あいりは、何が気になる? 」


「 口?本当に裂けていたのかな?口なんて裂けていたら、まともに喋れないんじゃないの?私きれいなんて聞くの無理じゃない?それと、ポマード?なぜ整髪料の名前で逃げるのかな?」


「 口裂け女は、妖怪説もあるから人間じゃないかもね?」


私達は、わからない事ばかりだがその日は、帰る事にした。

それから、数日後とんでもない事件が起こる。


「 ことの!見た!?」


「 見たわよニュース!怖いわね 」


小学生の男の子の死体が、発見された

私達の高校の近くの小学校の生徒だった

刃物で、何度も刺されていたようだ。


「 口裂け女の仕業よ、やっぱりこの町にいるんだ。どうするあいり?調査を続ける 」


「 もちろん続けるわよ、許せないわ。正体を突き止めてやる 」


「 さすが、正義感の強いあいり。そうでないと、新聞部なんてつとまらないわよね 」

私達は、図書館に行き過去の新聞を調べる事にした。


「 ことの!これを見て、口裂け女の出現した年代に、岐阜の町で小学生の男の子の死体が発見されている。この間の事件と同じよ。犯人は、わかってないみたいだわ 」


「 本当ね、私も発見したわよ。これもやっぱり岐阜の町、行方不明の子が何人かいるみたいよ。年代も同じだわ!」


「 今回の小学生の男の子の事件、田辺さんの失踪、昔の事件とこんなに共通点があるなんて、もう間違いないわよ 。あいり 」


「 間違いないわ、口裂け女が時を経て現代に蘇ったのよ。私達の町に 」


私達は、佐々木部長の所に向かった。


「 部長。調べた結果、この事件はやはり口裂け女が大きく関わっているみたいです 」


「 やはりそうか 」

ことの言葉に、佐々木部長はうなずいた


「 部長、むかし岐阜県で、口裂け女に追いかけられた、あるいは襲われた経験がある人をツイッターで募集してもらえませんか?」

私は、部長に提案した。


「 岐阜県だけでいいのかい?」


「 岐阜県だけに絞りましょう。おそらく口裂け女がいたの岐阜県だけです 」


私は、全国に口裂け女の噂はあるが、本当の口裂け女がいたの岐阜県だと確信していた。その口裂け女が、今は私達の町にいる。


「 わかった、ツイートしてみるよ。それから、この事件はもう死人も出ている非常に危険だ。これからは単独では行動しないで下さい 」


「 はい 」

私は、家に帰った。


「 ただいま 」


( おかえり)


「 ママは、今日も夜勤なの? 」


( 忙しいみたいやな病院 )


「 まぁ 、おばあちゃんがいるから寂しくないけどね 」


( 部活、遅くまで大変やな )


「 口裂け女を、見つけないとね 」


( あまり、危ない事はしないでおくれよ)


「 大丈夫よ、心配しないで 」


( あんたは、おじいちゃんの血を引いているんやな )


「 あ!そうか、おじいちゃんは新聞記者だったんだっけ?」


( 地方新聞の記者やったけど。うちの家に婿養子に来たので辞めたわ。まったく出世もできない記者やったからな )


「 そうだったの••••(笑) 」

私には、おじいちゃんゆずりの記者のセンスがあるは、必ず口裂け女を追い詰めてやるわよ。


それから数日後、ことのと、合流して学校に向い部室に入ると部長が待っていた。


「 来たよ!ツイートの返信が 」


「 本当ですか?どんな内容てすか?」

私は、テンションが上がった。


「 私のお父さんが、むかし口裂け女に追いかけられたとの内容で、そのお父さんが、今日ビデオチャットで、インタビューに答えてくれるそうだ 」


「 やったわね!あいり。ついに謎の解解明に、近づけるわよ 」

私と、ことのは、抱き合って喜んだ


「 そろそろ時間だね 」

佐々木部長のノートパソコンの前に新聞部のメンバー全員が揃った。


画面に、五十才前後の男性が映った。


「 こんにちは、お忙しい所ありがとうございます。名城高校新聞部の佐々木です。よろしくお願いします 」


「 上田です。よろしくお願いします 」


「 まずは、上田さんが追いかけられたのは、何歳の時ですか?」


「 9才、小学3年生の時です 」


「 その時の状況を、詳しく教えてもらえますか」


「 はい、そろばん塾の帰りでした、時刻はもう19時ぐらいで、あたりは暗く人気もない所 で、腕を掴まれたのです赤いコートを着た女に 」


「 何か!言葉を言いましたか?」

佐々木部長が聞いた。


「 いえ、何も言ってません。私は、手を払いのけ走りました、そしたらその女も走って追いかけてきたのです。追いつかれ腕をまた掴まれ、私をにらみました」


「 その時は、何か言葉を言いましたか?」

佐々木部長は、身を乗り出して聞いた。


「 何も言ってません。ただ私をにらんでいました。私は、その時にこいつが口裂け女だと思い、兄から教えてもらったあの言葉を言いました 」


「 あの言葉とは?」


「 ポマードです。3回ほど続けて言いました、するとその女は逃げていきました」


「 私に質問させて下さい 」

私は、佐々木部長の前に割って入った。


「 その女の手は、どんな感じの手でしたか?」


「 普通の女性の手でした 」


「 ポマードとは、どんな意味ですか?」


「 兄は、悪霊祓いの言葉だと言ってました。兄は、オカルト好きでよくその関連の本を読んでいましたから、おそらくそこからの情報だと思います 」


「 お兄さんも、口裂け女に追いかけられた事があるのですか? 」


「 ないです。もし妖怪が出たら言えと私に、ポマードを教えてくれました。それいらい私は、口裂け女に追いかけられた少年と言われ、新聞、雑誌などの取材を受け、ポマードの話をしました 」


「 それじゃ!ポマードを広めたのは、上田さんなんですね?」


「 そうだと思います 」


「 おぉー!」

新聞部のメンバー全員が、驚いた。


「 お兄さんは、現在どうしてますか?」

私は、続けて聞いた。


「 行方不明なりました 」


「 えぇ !」


「 私が、口裂け女に追いかけられた事件から、二週間ほどしてから行方不明になりました。警察に捜索願いを出しましたが、何もわかりませんでした 」


「 部長!口裂け女が上田さんのお兄さんを !」


「 そうみたいだね。ポマード言わなかったのかな?」


「 私の知っているのは、これくらいです。お役に立てましたか?」


「 ありがとうございます上田さん。また取材させて、もらうかもしれませんがその時は、よろしくお願いします 」


「 承知しました 」


「 ありがとうございました 」

佐々木部長は、そう締めくくり。ビデオチャットは、終わった。


「 ポマード?前から検索しているけど悪霊祓いの言葉なんて、出てこないわよ

本当にそんな意味かしら?」

ことのが、不思議そうに言った


「 わからないけど、でも逃げたんだその言葉で 」

佐々木部長も不思議そうだった。


「 でも、人間の手だという事は、わかりました。やはり口裂け女は人間、実在しますよ 、引き続き調査します 」

私は、強い口調で言った。


私と、ことのは、小学生の男の子の事件田辺さんの目撃された場所、すべて私の家と学校の間で起きている事に、目をつけた。これは、口裂け女が狭い範囲でしか動けないという事だ。


「 私の家から学校まで、自転車で10分しかないのよ 」


「 岐阜の時も、狭い範囲で、失踪、殺人事件が起きていたみたいね 」


「 ことの、切り裂きジャックの話知っているよね 」


「 もちろん、それがどうしたの?」


「 その事件も町の中だけで連続殺人がおきたのよ 。ちょっと口裂け女の事件と似ていない 」


「 似ているわね、結局ジャックは捕まらなかったから真相は、謎のままジャックの正体は、モンスター説もあるのよ」


「 そこなのよ、ことの 」


「 何が?」


「 わからないから、妖怪やモンスターの説になってしまうのよ。口裂け女もジャックも人間だと思うのでもポマードがわからないのよね? 」


「 そうね、あいりの言うとおり人間ならポマードで、逃げないわよね。早く何か見つけないと口裂け女、次のターゲット決めるんじゃない?」


「 どうして?」


「 ビデオチャットで上田さんが、自分が追いかけられて、お兄さんが失踪するまで、二週間と言っていたでしょう、事件の間隔が二週間なら、小学生の子の事件から数えたら、時間がもうないは、どうする?あいり 」


「 明日、部長に相談してみる 」


そして次の日部長の所に行き、ことのと昨日話した事を伝えた。


「 もう僕達では、これ以上の調査は無理だ。殺人まで起きているからね、警察に行こう。そしてこれまでの調査結果を伝えよう 」


私達は、警察に行った。そして調査結果を話したが、相手にされなかった。


「 私は、この署の刑事の中村だ。君達はもう高校生だろう、口裂け女とか言う年じゃないいだろう!そんなのはいない。バカな事言ってないで帰りなさい 」



「 わかりました。帰ろう 」

部長は、そう言ったが私は、納得できなかった。


「 待って下さい、刑事さん。たしかに刑事さんの言う通り、口裂け女なんかいません。いるのは、狂った犯罪者なんです。狭い範囲で行動して、一定の周期で事件を起こす。これは、猟奇殺人者の典型的な特長です。口裂け女の正体は、異常な殺人者なのです。それがこの町にいるは確かです。だから次の事件を起こす前に早く捕まえて欲しいのです。お願いします 」


「 事件の調査はしている、君達の意見も参考にしよう。だからもう警察にまかして、君達は手を引きなさい 」


「 はい。そうします 」

部長がそう言って、私達は警察を出た。

そのまま私は、家に帰った。


「 ただいま 」


( おかえり )


「 ママは、夜勤ね 」


( 今日は、どこに行ってたんや )


「 警察。今まで調査してきた口裂け女の事を全部話してきた。むかしと違って今は、防犯カメラもあるし。次何かしたら捕まるわよ 」


( 何を、警察に何を話したんや?)


「 口裂け女の行動範囲とかを。人間だから行動パターンが決まっているわ 」


( 口裂け女は、人間なんか?)


「 そうよ。でもポマードの意味が?やっぱり お祓いの言葉なのかな?それと口?本当に裂けていたのかな? 」


( 言い忘れていたけどうちは、一年ほど岐阜にいた事があるんや。アイツが新聞記者の時に )


「 アイツって? 」


( おまえの!じいさんだよ )


「 えっ!」


( 口裂け女は、口など裂けていない。喋れんかっただけや。アイツが、口裂け女とかいう記事を書きよったんは、真実を隠すためや、私きれいとか言っていたと口裂け女が喋れると、思わせるためにな

口裂け女は、良い隠れみのになったんやおかげで、好きな事できた )


「 •••な、何言っているの!?••••」


( あのガキには、驚いたけどな。名前を呼ばれたのかと思い逃げたんたや。口の動きが一緒やったからな 。後で知ったらあのガキポマードとか、ぬかしていたんやな )


「 •••ポマード•••ポ•マ••ド•••ホ•マ•ド•••宝間戸!•••わ~たしの•••なま〜え〜〜

あぁ~~あぁぁぁ〜!! 」



「 ただいま。あー疲れた。 あれ!誰もいないのかな? 」


( おかえり )


「 おばあちゃんいたの、あいりは?」


( 出て行った )


「 どこに行ったのかな?勉強もしないでそのうち、口裂け女に捕まるな 」


( 笑 )



間宝戸あいりが、家に帰る事はもうな

かった。




























































































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

true of 口裂け女 映木 @teruki01

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ