懸念点

僕が10歳の時、親戚の家に夏休みの間家族と泊まりにきていた。

その親戚の家の近くの神社で虫取りをしていたんだ。

その時、背の高いお姉さんが神社にやって来た。

そのお姉さんは僕を見つけると近寄って来て話しかけて来た。

「こんにちは。」

「こ、こんに、ちは」

「んふふっ。ねぇ君、この辺では見ない顔だね。どこから来たの?」

「と、東京」

「東京っ?!ずいぶん遠いとこからきたのね。ここ何もないでしょ?」

僕が首を縦に振る。

「正直だなぁ。 東京かぁいいなあ、大都会じゃーん!」

こんな感じで会話するうちに打ち解けて来て毎回話すようになっていった。

お姉さんのことも少しずつわかってきた。

お姉さんの名前は 実 と言うらしい。14歳だ

僕は実姉ちゃんと呼んでいた。



そして、毎日僕は神社に決まった時間に行った。

実姉ちゃんもその時間になると毎回僕と一緒に遊んでくれた。

そんなふうに遊んでくれる実姉ちゃんが大好きだった。

1人の女性としても僕は実姉ちゃんに恋心を抱いていた。


ある日、明日話したいことがあるからと言って時間を決めて会う約束を実姉ちゃんの方からしてきた。そんなことは珍しかった。



でも、その日時間になってもこなかった。


次の日もその次の日も待ってはみたけれど、実姉ちゃんが来ることは最後までなかった。


もしかしたら、僕が何かしてしまったのだろうか。そう思うようになってしまった。それからというもの、そのことがブレーキになっているのか分からないが、親戚の家と聞いた時、嫌悪感を覚えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

キツネの恩返し 凪なた 渚 @Dora3825pop

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ