原罪背負わされ系男子の憂鬱
- ★★★ Excellent!!!
いろいろトラブル続きながらもうまいことやっている男性と、その彼のトラブル体質をうまく利用する友人の物語。
主人公の抱えた奇妙な体質、なぜだかやたらと「お前のせい」と言われてしまう、その特性が引き起こすトラブルが楽しいお話です。
いや、当人にしてみればきっと堪ったものではないのですけれど。
でもその苦難をあしらえるだけの能力があるというか、「彼ならなんとか切り抜けてくれるはず」と、そう思える彼の人物像がとても好きです。
ハイスペック、という言い方だと違うものを想像されそうですけど、こう、基礎的な能力の高さというか。なんか任せられる感じ。
でも一番好きなのはやっぱりその友人、主人公をうまいこと使う要さん。
単純に要さん自身の造形が魅力的、というのもあるのですけれど、でも互いに憎まれ口を叩きながらも付き合っている、この無言の信頼感のようなものが読んでいて本当に気持ちいいです。
いわゆるバディもの的な心地よさ。こういう仲っていいですよね。
文章や文体というか、主人公の語り口の軽妙さも楽しい。
サクッと読めて心地よい、とても素敵なお話でした。