君との距離

大西 詩乃

君との距離

「またねー!」


 不意に聞こえた声が、あまりにも君に似ていて振り返りそうになった。

 横を小学生が手を振りながら走っていくのを見て、止まっていた足を動かす。

 久し振りに君のことを思い出した。

 元気にしているか、と考えて元気じゃないとこは想像つかないな、と思い少し笑ってしまう。

 私と君は所謂、幼なじみだった。

 結構タイプが違ったけど仲が良いと思っていた。今思うと私だけなのかもしれない。喋りやすくて、遊びやすい。干渉しすぎない丁度良い距離感が好きだった。君は満足できなかったかもしれないけど。

 私にとっては一番だったけど、君はたくさん友達がいた。

 誰一人として友人がいないこの町を見渡す。

 こんなに寂しくなるなら来なければ良かったかな。だけど後悔はしない。自分で決めたのだ。

 家に着いて、チャットを開いた。ネット上の会話は就活前で止まっている。

 時間は空いてしまったけれど、また会えるかな。私は『今度の休み一緒に遊ばない?』とチャットを送った。

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君との距離 大西 詩乃 @Onishi709

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