君はいつから、「二次元沢メタ子」が本物だと錯覚していた?

メタ世界の住人である、そこの君!
そうそう、君だ。このレビューを読んでいる、そこの君!

君は読んだのだろう。二次元沢メタ子がありとあらゆるものをふっ飛ばして、挙句の果てに何も始めなかった話を。
そして、理解したのだろう。偽物のメタ子が登場して、物語を乗っ取っていく様子を。

だが、君はたった一つだけ、最も重大な勘違いをしている。
君はいつから、冒頭から登場する「二次元沢メタ子」が、本物の主人公だと錯覚していた?

ここで一つ、たとえ話をしよう。
君の目の前に、超高性能なワープゲートがある。君はこのゲートをくぐるだけで、いつでもどこでも、好きな場所に行けるとする。
ただし、「君」そのものが行くのではない。君がゲートを通った瞬間に、「君」という存在は異空間に飛ばされ、瞬時にこの世界から消える。
その代わり、「君」と瓜二つのコピー体が、ワープ先に生成される。コピーは実質、「君」と言っても良い。なぜなら、記憶も性格も何もかも、「君」と全く同じなのだから。

……え? たとえ話は、もういい、と?
ならば、単刀直入に言おう。私はだね、この物語に出てくる「メタ子」は、どちらも自分自身が「オリジナル」であると思っている……。そういう風に、考えている。
だからこそ、彼女の世界は永遠に終わらないだろう。いわゆる、「いたちごっこ」だ。
相手を偽物だと思い合っている限り、このラブコメにエンドはない。
それが、私の結論だ。

この物語が「メタ」であること、そればっかりに、注意を向けていてはいけない。
だって、他でもない「君」こそが、メタ子よりも何よりも、メタの世界で暮らしているのだからね。

……さて、と。
私はそろそろ、帰るとしよう。
ちなみにこのレビューは、随分と大層なことを書いているように見えるが、実際にはただの見掛け倒しなのだよ。
二次元沢メタ子の物語も、始まらなかったことだし、ね。