ウラジミール・プロップ的類推
- ★★★ Excellent!!!
伝説や昔話の口調で書かれた今作は、「浦島太郎」と同型と考えて良い。外の世界から切り離された主人公が人ならざる者と接し、突如現実に突き返される流れである。
竜人は主人公に人魚の肉を与え、主人公を永らえさせる。「何故そうしたか」と言う点に関しては明示されていないが、人ではないものに人の道理を求めるのは間違っているので、その辺りの解釈は個々人に委ねて差し支えないと考える。
中盤で登場した「ミコト」と言う人間が、のちに部隊を引き連れて竜人を討ち倒すシーンがあるが、これはある意味神話的で、地上は神のものではなく人のものであり、類するものはやがて消されていくと言う暗示を想起させる。
結末は我々の想像力を掻き立てる。浦島太郎と比較してみると、先が短い浦島太郎と、人魚の肉を食べて不老不死になってしまった主人公とでは、その後の時間の長さは歴然だろう。逸脱し、残された者の末路は、明記しないことに意味がある。