暗く、堕ちる

らんらん

沈む

ん?ここは…

気がつくと草の上に横になっていた。

もう真っ暗だ。

ああ、そうだ。私は妹とお祭りに来ていて…そこからよく覚えていない。

あれ?妹がいない。私が寝ている間に帰ったのだろうか。そんなはずはない。妹は未だにコンビニにも一人で行けないのだから。

迷子?だがここが何処か分からない限り探せない。

見渡す限りここは商店街のようだ。いや、シャッター街だろうか。

懐中電灯を握っていた。これで道をらせる。

とりあえずここを抜け出して交番を探そう。


この商店街長いな…

「ペ……タペ…ぺ…。」

え?何この音。

「ペタペタペタペタペタ。」

手がない人形の黒い生き物が、店と店の間から出てきた。

目が四つある。

私はを見つめた。

「ペタペタペタペタペタ。」

ずっとペタペタ言っている。

さらき進んでいくと、目が三つある大きなコウモリも出てきた。

「バサバサバサバサバサバサ。」

ずっとバサバサ言っている。

商店街を抜けると、住宅街に出た。

住宅街にはいろいろながいた。

3メートル近くある一つ目のもの、ベトベトしているスライムのようなもの、ふわふわしている綿毛のようで象のように大きいもの。シュワシュワしているものが駄菓子屋だがしやをやっていたり。


ずっと歩いていると私の家が見えた。

靴を脱ぎ、母に言われたよう靴をそろえて中に入った。

居間にはもやしのような体型の母と父がテレビを見ている。

近づくと、感情のない声で笑った。

2階には弟がいた。

生まれたばかりで赤ちゃんの弟は私の机で勉強をしていた。

近づくと振り返って私の胸ぐらを掴み、階段から落とした。

痛かったけど涙も嗚咽おえつも出ない。

父も母も気づいていないようだ。

急に漏れそうになるほどの尿意が襲い、私はトイレのある部屋にに入った。

その部屋の先には森林が広がっていた。

その中の木で最も大きな木に、妹がいた。

妹の姿は、左腕がなく、右目がなく、両足が無かった。

「お、おねぇちゃん。」

妹が左手で手招きをした。

「い、一緒に、いこう?」

私は妹と手をつなぎ、光る方へ歩いた。






病室には、二人の夫婦と、医師、ベッドで寝ている女の子がいた。

「階段から落ちたんです!娘は大丈夫なんでしょうか!?」

医師は唸りつつ口を開いた。

「骨折が二箇所にかしょあります。大腿骨だいたいこつ上腕骨じょうわんこつですね。上腕骨は3週間ほどで完治しますが、大腿骨は1年かかるかと…。それ以外は打撲で済んでいます。」

「そうですか……。」

「それと自分から落ちたと仰られましたが心当たりは?」

「はい…統合失調症とうごうしっちょうしょう陽性症状ようせいしょうじょうがあると言われました。」

「そうですか…。」

病室は静まり返った。






はるか昔、この世には翼のある人間――――いわば使が支配していた。

使は食を必要としないため、他の動物を虐殺ぎゃくさつした。

その事を危惧きぐした神は、使を2つの世界に分けた。

世界と天空の世界。

世界の使は翼を奪われた。

使にとって翼は力のみなもと

使の地位はち、今の人間となった。






この女の子―――――ユミは6つの頃、触れてはいけないと言われていた神殿に触れている。

その神殿は人間を神に近づける効果がある。

人は自らが認知できないものを精神的な病気、などと簡単にしてしまう。

そう、ユミはの翼を手に入れ、使となり、地位を飛躍的に上げることに成功した。

だがそれは使の目線での話。

人間の目線では、ユミの存在は大きく堕ちてしまっていた。

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暗く、堕ちる らんらん @rantetetan

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