小さき焔の王

羽生零

1.

 滴る汗が足元に落ちて、じゅっと音を立てる。汗を拭おうにも両手はつるはしでふさがっていて、ノアは熱く乾いた息を浅く吐いて、少しだけ顔を上げた。

 顔を上げれば、陽炎の向こうに揺らめいて、いくつもの小さな影が見えていた。足元には黒い石がいくつも転がっている。石の表面の亀裂から、わずかに赤い光が漏れる。それが、照明のほとんど無い薄暗い空間を照らしている。

 灰色のレンガが敷き詰められた天井と壁。天井は低い。大人が腰を折らずにやっと通れる程度だ。しかも、足元には泥岩のような灰の塊と、赤い光を溢す黒い石が転がっていて、余計に歩きにくい。

 もっとも、ノア達にそれは関係ない。子供だから背が低いだとか、足元を気にしなくてもいいほど身軽だということではない。


「おい、ノア! 何やってんだ! 手が止まってるぞ!」


 歩きにくかろうが、噴き出した汗がすぐ蒸発するほど暑かろうが、ノア達には何も関係がない。暑くても寒くても、広くても狭くても、働かされることには変わりがないし、働くペースを落とすことも許されていない。

 ノアの手は、怒号が飛ぶ前に動き出していた。手を止めていたのは本当に一瞬のことだった。それを見咎めるあたり、集中力とか観察眼があるというより、単に人のあら捜しをするのが神がかり的に上手なのだろう。まだうるさく怒鳴っている大人の声が、耳に突き刺さっている。言葉の意味はシャットアウトして何を言っているのか分からないのに、音だけは聞こえてくるから鬱陶しい、と思っているのはノアだけでは無いだろう。事実、猫車を押して近くを通って行ったテラのこめかみは、ぴくぴくと動いていた。腹が立ってしょうがない時の、テラの癖だ。

 つるはしを振り下ろす。硬い音を立てて鎧が砕ける。黒い石は鎧の破片だった。大人ほどの大きさの鎧の中に、中身はない。それなのに勝手に動いて襲ってくるなんて、どういう原理なのかと見るたびに思う。しかし、観察して考えようにも、じっと見つめている時間はない。仕方がないので、ノアは鎧を割り、運搬するときにだけそれに注目していた。

「赤い石……」

 呟く。人で言う、心臓のところ。割れた鎧の隙間に赤い石が見えていた。赤い、と言っても火のように赤くはない。どちらかといえば茶色に近く、それも時間が経つに連れて色が褪せて黒くなっていく。最後には黒い石と見分けがつかなくなっていくそれが、たぶん黒い鎧の心臓なのだろうとは見当がついていた。

 つるはしを頭にも振り下ろす。しかし、そこに脳は無い。臓器も骨も筋肉も無いこの鎧は、ただ心臓代わりの赤い石だけで動いているようだった。


 石を回収し終えると、猫車と滑車を使って資材を上階へと運ぶ。ノア達は、階段を使って上に戻る。戻ってきた子供たちに対する労いの言葉はない。大人たちは、ノアのような子供たちを働かせて当然だと思っていた。


「……ったく、今日もあのブタうるさかったヨな!」


 食堂に着くなり叫んだのはテラだった。声が大きい、と誰かがたしなめる声がしたが、テラはふんと鼻で笑って、

「食堂のヤツらだって告げ口しねーヨ。とばっちりがこえーんだから」

 と、どこか馬鹿にしたような風に言って、スプーンを碗の中に突っ込んだ。灰色がかった硬い土器のような器には、わずかばかりの豆が入っている。具があるだけましだ、とノアは味わうように豆を舌で転がした。農作物は貴重だ。肉はもっと貴重だ。魚はもはや食べられない。草木が育つ土地は、この塔の一室にしかない。牛や豚どころか、鶏を飼うスペースは当然無い。余分な部屋を作るような資材など無いのだ。

 ただ、上へ上へとノア達は塔を伸ばしている。

 それは生きるためだった。下から火と、魔物が押し寄せてくる。それから逃れるために、必死になって塔を伸ばし続けている。いつまでも、そんな手段で逃げ続けられるわけがないと、誰もが思っていながら。



 ――火と魔物が現れたのは、おおよそ一ヶ月前だった。



 何故そんなことが起きたのか、いまとなっては誰も知る由は無い。ただ、空で眩い光が爆発し、黄金の火の雨が地上に振った。建物の中、地下街などにいて難を逃れた者も、生きている深紅の炎に焼かれていった。

 黄金の火の雨はほんの数分で収まった――とはいえ、はっきりと測った者はいない。少なくともこの塔の中には――だが、深紅の炎は違った。水をかけても土をかけても、勢いが弱まりはしたが、消えることはなかった。消火剤も無駄だった。まるで意思があるように、人がいる方へと延焼を続けた。燃えるものが無いはずの、海の上に漂っていた船にさえ炎は襲い掛かった。

 そうして人々はほとんどが焼き尽くされた。

 そんな中で、辛うじて炎から逃れ、地表を燃やし尽くした炎から逃れるための塔を作った者たちがいた。それが『大人』たちだった。

 塔を作り始めてから間もなくして、魔物が現れ始めた。初めのうちは鎧だとか灰だとか、そう呼ばれていたそれらは、誰が言い出したのか『魔物』と呼ばれ、そしてその呼び名が定着した。

 大人たちは魔物と戦うだけの力がある。

 ノアのような子供達にはそれがない。だから、労働をさせられる。命がけで戦うことを免除されているから、死ぬほどの労働をする。

 ノアはそれを当然だとは思わなかった。不満はあった。ただ、仕方がないと思った。むしろ、口減らしのために塔の外に放り出されないだけマシだと思っていた。実際、腕や足が折れ、使えないと判断された子供は、下の階に放置されていった。それを考えれば、迎え入れた上で食料まで分もらえるのは、情け深いとすら思えた。

 ただ、そう考えているのはノアを含めた二、三人だけだった。

「いいかげん、あんなブタやウシどもなんかの頭につるはしぶち込んで、オレたちの天下にしてヤりてーヨなぁお前ら?」

 すでに食事を終えたテラは、椅子の上に立ってそんなことを言い始めた。止める者もいれば、煽る者もいたが、いずれにせよテラは誰の話も聞いてないような様子で、一人で勝手に話していた。

「あいつら、オレたちに恵んでヤってるみたいな態度だけどヨ。オレたちがいなけりゃ塔は建てられないんだぜ? オレたちみーんないなくなったら、あいつら戦って、塔も作るんだ。できもしねーくせに!」

 何人かが笑った。大半は相手にしていない。疲れていて、スプーンを片手に舟を漕いでいる者もいた。

「俺たちで、いつか天下を取るんだ。今に見てろヨ、背なんてすぐ伸びるんだ。力で勝てるようになっちまえばこっちのもんさ!」

「へーえ、そりゃすげーや。で、俺たち成長するまで生きてられんの?」

 テラはむっと口をつぐんだ。だがすぐに、

「背なんて関係ねーヤ、要はどうにかしてあいつら、ぶっ飛ばせりゃいいんだヨ!」

「どーやって?」

「あいつらの中に偉いヤツがいるんだ。一番最初にそいつをヤっちまえばいいんだヨ!」

 何人かがはやし立てるような声を立てた。そこからは、悪口を交えた拙い反乱計画の話だった。誰も彼もが話半分だ。ノアも話半分だった。偉いヤツとやらがいたとして、そいつを倒しても、別の誰かが代わりになるだけだ。

(あいつらより、俺たちが強くならない限りは無理だよ、テラ)

 心の中だけで、ノアは言った。どうせテラは、聞きはしないだろうから。



 翌日。いつも通り、ノアは仕事に出た。いや、いつも通りなのは昨日からずっとだ。昨日よりも以前から、大人たちに拾われ、塔に来たその日からずっと同じだ。そして明日も同じ日が続いていくのだ。焼き尽くされるその日まで。


 ――そう、誰もが思っていた。


「魔物だ! 魔物が出たぞ―っ!」


 誰かが叫んだ。下の階から溶岩のように、深い赤の炎が迫ってくる。明るいようで暗い光が見える。炎が不透明に見えるのは、その下に灰と黒い石があるからだ。灰と黒い石は急速に形を作っていく。黒い石は鎧となり、灰は犬のような獣に変わっていった。階段を壊しても、魔物たちはこうして炎に乗って這い上がってくる。

「全員逃げろ!」

「おい、道具を置いてくんじゃねえ!」

「お前らの骨なんてつるはし一本の価値もねえ! 死ぬ気で持って行け!」

 子供たちは背後に熱を感じながら、つるはしを猫車に放り込んで上の階へ走る。逃走にも慣れたもので、炎にまかれる者はすでにいない。ノアも子供たちの波の中に混じって走った。入れ違いに、手に手に武器を持った大人たちとすれ違う。手にしている武器は、銃火器などではなく黒い剣や槍だった。銃が無いわけではない。ただ、もうすでに弾薬が無いのだった。

「整列! 点呼!」

 だいたいみんな逃げてきただろうというタイミングで、シンが声を上げた。シンはしっかり者で、この中では2番目に年長で、よく気が利く。こういう役目はいつもシンがやっていた。全員が一列に並び、右端から順に番号を言い、14を数えたところで全員の気が緩んだ。

「全員いる? ……よかった」

 シンも安堵に顔を緩ませていた。背後ではまだ戦いの音が続いていたが、全員がもう戦闘が終わったかのような雰囲気だった。


 だが、戦いの音は、五分、十分と経っても音は止まなかった。


 硬い物どうしがぶつかる、甲高い金属音。怒声、唸り声、悲鳴。初めは遠くから聞こえてきたはずの声が、徐々に近づいてきていた。

「…………お、おい、やばいんじゃないのか?」

 誰かが言った。ざわめきと恐怖が広がりきらないうちに、階段の方から怒号が飛んだ。

「おい、何やってんだ! さっさと来いガキども!」

 その声にノア達ははっとした。だが、誰も動き出せなかった。「おい!」と苛立った声と共に、声の主が姿を現した。剣を持ち、オレンジの防火服に身を包んでいる。怒気も露わに、男は大股でノアたちのいる方に突進してきたかと思うと、手近な子供の腕を掴んだ。

「来い! せいぜい盾になれ!」

 怒鳴られても引きずられても、子供は震え上がるばかりで、何も言わない。足もほとんど動いていなかった。会話が苦手らしく、話しかけられると石になったように動けなくなることもよくあった。

「あーあ、ルカのヤツじゃ戦力にならねーのに。しょーがねぇヤ、オレも行ってくる」

「おいおいマジかよ、テラ」

 テラは猫車に突っ込んであったつるはしを取る。子供たちに武器は与えられていない。いつも振るう道具だけが彼らに与えられたものだった。

「どうせ行かなきゃ全滅かもヨ? 大人が一人でも生きてるうちにヤっとかねーと。あいつら、図体デカイんだから、盾ぐれーにはなるだろ」

 テラの言葉に、何人かが笑った。そしてつるはしを手に取った。ノアもそれにならった。本当は行きたくなかった。ただ、ここで逃げても生き残れる保証もない。仕方ない、それだけだった。



 下の階は地獄のような光景が広がっていた。

 炎を背後に押し寄せてくる魔物を、大人たちは剣や槍を振るい、敵の心臓を貫いて倒していく。部屋の中には嫌な臭いが充満していた。人が焼ける、鼻を衝く異臭。それを発しながら床に転がっている、動かなくなった大人たちを踏み越えて、子供たちがつるはしを振りかざしながら魔物たちへと向かっていく。

「ヤれーッ! 殺せーッ!」

 子供たちの先陣を切っていたテラが雄たけびを上げ、つるはしを振りかざす。鈍い先端が、灰の獣の体に突き刺さる。黒い石の鎧すら粉砕するつるはしなのだから、当然ながら魔物たちにそれを防ぐだけの硬さはない。魔物の数は、あと六、七体だろうか。こちらは大人と子供を合わせて20人はいる。この様子なら、自分が何もしなくても戦闘は終わるだろう――ノアがそう思っていたその時、

「うっ、うわあっ……!」

 上がりかけた悲鳴が途切れる。腕を灰の獣に噛まれ、体勢を崩した大人の頭に黒い石の鎧の剣が振り下ろされた。湿った音を立てて倒れた死体の、その向こうからさらにもう一体、黒い鎧が突撃してくる。ちょうど、ノアの正面だった。

「う、あ……」

 ノアはつるはしを握りしめた。だが、体がとっさに動かない。恐れよりも、どう動くべきかということで頭がいっぱいになってしまったのだ。敵の動きは、素早いわけではない。テラのように飛び込んでしまえばいっそ楽だ。分かっているはずなのに、最適解の通りに体は動いてくれないのだ。

「ノア!」

 叫びながら、ノアの前にシンが立ちはだかる。上から振り下される剣を、つるはしで辛うじて受け止めたシンの背中に、ノアははっと我にかえる。汗のにじむ手でつるはしを握り直し、シンの横に飛び出ると、つるはしを思い切り振りかぶった。

 がちっ、と硬い音がして、硬い感触が腕を痺れさせる。

 一瞬だけ目をつぶったノアは、次に目を開けたとき、黒い鎧に中途半端に突き刺さった自分のつるはしを見た。

「あ、ああっ……!」

 どうにかしなければ、つるはしを引き抜いてもう一度振るわなければと思うが、やはり体はついていかない。それどころか、魔物が剣を振るおうとするのを見て勝手に動いた。つるはしから手をぱっと離して慌ててしゃがむ。頭の上で風を切る音がした。ドス、と灰色の床を踏んだ、黒い足が見えて、顔を上げると、ほとんど真上に、覆いかぶさるほど近くに、黒い鎧が見えた。ノアはもはや悲鳴すら上げられなかった。頭が真っ白になっていた。黒い鎧が剣を振り上げるのが、何故かひどくゆっくりに見えた。

 黒い鎧が大きく手を振り上げると、赤い光が胸元に見えた。床に落ちたつるはしがつけた傷から、あの赤い石が見えていた。

 そこから先のことを、ノアはほとんど無意識にやった。

 飛び上がるように立ったノアは、赤い光に向けて手を突き出した。鎧の隙間に手をねじ込んだ途端、凄まじい熱――もはや痛みに等しい高熱を受けた。

「ノア!?」

 後ろでシンが叫んだが、ノアにはほとんど聞こえていなかった。誰かの絶叫が鼓膜を揺らしていた。それは自分の悲鳴だった。痛みと熱に視界も意識もぼやける中、無我夢中で腕と足に力を込めた。

 自分でも何をやっているのか、ノアはほとんど分かっていなかった。ただ、赤い石は心臓であり、それをどうにかしようとだけは思っていた。

 ノアは全力で、赤い石を引き抜いた。ぷちぷちと立つ音は、自分の血管が切れる音か、沸騰した血が立てる音か、それとも赤い石を引き抜かれる鎧が出す軋みか。

 その音も、ふっと消えた。同時に、熱も痛みも消え失せた。その瞬間、ノアは妙に冷静になって、自分はもう死ぬのだろうということを思った。

 ぼやけていた意識は、もはや夢でも見ているようにはっきりとしない。陽炎のただなかに立っているように、全ての景色はかすんで、揺らいでいる。痛みも熱も感じない。音も何も聞こえない。感じることも考えることもできない。


 ただ、ノアは見ていた。目の前に立った黒い鎧の胸に、赤い光を噴き上げる黒い槌のようなものが叩き込まれるのを。鎧が倒れては現れ、また倒されていくのを、ずっと見ていた。



 気が付くと、ノアは横になって倒れていた。灰色の天井が見えている。背中に感じる土の感触は、いつもの石のベッドよりわずかに柔らかい。大人たちが使うためのベッドだ。建材用と違う作り方をした、灰泥岩のベッドだ。子供は使うことが許されていないベッドに寝ていることに気づいたノアは、驚いて飛び起きた。

「うおっ……! き、気が付いた、のか?」

 声のした方を見ると、大人がひきつった顔でノアを見ていた。ノアは呆然と大人を見ていた。

「おい、体は何ともねぇのか?」

「え……はい……」

「……どうする?」

 大人はひそひそと誰かに声をかけた。ノアは気づいた。この部屋には他にも大人が二人いた。三人で何事かを口早に話すと、大人たちはぎろりとノアを見下ろした。

「おい、押さえてろ」

 一人が言った。二人がノアの腕を掴んで立たせた。何が起きているのか分からないまま、ただ呆然としているノアは、立たされたと思えばその場に跪かされた。押さえろと命令した大人の手に、黒い剣が握られていた。

 その途端、冷たい戦慄にノアは震え上がった。自分はいま、他でもない同じ人間に殺されようとしている!

「ど、どうして……」

「うるせえ! この、化け物が……」

 おぞましいものでも見るような目で睨まれ、吐き捨てられる。ノアは強い恐怖に見舞われ――その直後、激しい怒りに駆られた。

 何故、どうして自分は彼らに殺されなければならないのだろう? 働かされるのなら、まだ分かる。大人たちは自分を守ってくれているのだから。けれど、いま彼らは、自分を庇護するものでも何でもない。ただ理不尽に暴力を振るってくるだけの相手だ。

 こみ上げた怒りに、体が熱くなる。まるで全身の血が沸騰したようだった。また、景色が揺らめいていた。ひっとすぐそばで悲鳴が上がった。気づけば腕の拘束が解かれていた。

「お、おい……」

 側にいた大人の声は、途中で凄まじい悲鳴に変わった。ノアがそちらに顔を向けると、腹を抑えてのたうち回っている。

 ノアは、自分の腕を見た。自分が殴ったのだという意識が追いつくのと共に、自分の腕が全く見覚えのない姿になっていることに気づいた。皮膚は黒い石のようになり、石の表面のひび割れから、赤い光が漏れていた。

 自分がどうなってしまったのか、理屈を理解するより先に、ノアは分かった。自分はいま、この場にいる誰よりも強いのだと。

「こ……殺せ! このガキを殺せ!」

 目の前の大人が叫んで剣を振り上げようとするのと、ノアがそれを殴り飛ばすのはほとんど同時だった。大人の体は軽々吹き飛んで、灰色の壁に打ち付けられた。

「ひっ……ひぃぃ! 化け物! 化け物だ、みんな化け物が出たぞーっ!」

 残った一人が、喚き散らしながら逃げていく。それと入れ違いに、ノアに向かってくる姿があった。子供たちだ。その先頭に立つのは、テラだった。

「テラ、ぼくは……」

 何を言おうとしたのか。あるいは、テラの言葉をただ待っていただけなのかもしれない。何にせよ、テラはノアの思惑など知らずに、芝居がかった素振りでその足元に片膝をついた。

「ノア、俺たちの王様! 虐げられた子供たちのための火の王様! どうか、オレたちを導いてください!」

 誰もがぽかんとして、その言葉を聞いていた。ただ一つ、誰もが認めることがあった。

 この中でいま最も強いのは、いまやその心臓に奪った赤い石を宿して魔物と化した、ノアという13歳の子供だった。

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小さき焔の王 羽生零 @Fanu0_SJ

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