真夏の白昼に現れる、何か異質な存在

 とある田舎の町に現れる、正体不明の『白い女』のお話。

 現代ものホラー、というか、怪談のような物語です。
 白い女、というのは読んで字の如くの意味で、服から髪から全身真っ白い女性……の姿をした何者かです。
 その白い女に、お盆などで都会から連れられてきた少年が出会う物語。

 盛夏の片田舎の情景というか、見える風景そのものはどこまでも爽やかなところがとても印象的。
 実際、直感的に悍ましいと感じるようなものは一切なく、登場人物らも『白い女』に対して特に恐怖は覚えていないのですけれど、だからこその不思議な不気味さが作品全体に満ち満ちています。

 美しいものに魅せられることの、静かな恐ろしさのようなものを味わわせてくれる物語でした。