何かに、ただ、見られている
- ★★★ Excellent!!!
ある日突然感じるようになった謎の視線に、心を苛まれる男子大学生のお話。
現代もののホラーです。
背後に気配のようなものを感じるも、しかし振り返っても誰もいない。
果たしてそれはなんらかの精神的な症状なのか。それとも何かこの世のものではない、恐ろしい存在が憑いているのか。
正体がわからないまま翻弄され、徐々にやつれていく様子がとても印象的なお話です。
こういうの好き。傍目には(というか読者としての目線では)、「おいお前おかしくなってるぞ! しっかりしろ!」ってなるんですけど。
でも、もしいざ自分が同じ目に遭ったら、まあこの彼と同じようになるんだろうな……という、この共感ありきのやきもき感。
正体がわからないことへの恐怖と、常時かかり続けるストレスの怖さを丁寧に描いた、シンプルながらも恐ろしい物語でした。