レベリングライフ:ワールドエンド
小早敷 彰良
「レベリングライフ:ワールドエンド」プロット
■1.テーマ
人間のレベルアップの快感を可視化する
■2.概要
本作は主人公であるプレイヤーの日常生活をゲーム内能力値に変換しレベリングとするゲーム。
読書アプリの起動時間、家計簿アプリや身体機能収集アプリ、勉強時間の入力等によって能力値を換算し、自身のアバターと相棒であるモンスター「Habit」の両方が成長していく。
ゲーム内世界でも物語は展開しており、レベリングで鍛えた自分により近いアバターを主人公にして、ゲーム内世界を遊ぶことが出来る。ストーリーを進めるためにはレベリングが必須。
相棒であるモンスターはゲーム内世界の案内人であり、ストーリー内の大目標を示す(『3.ストーリー』に後述)。
主人公である「あなた」の力を可視化し、新たな自信を身に着ける、もしくは、能力値のために新たな行動を起こすことになり、新たな世界を開く道しるべとなることを、本作は願う。
■3.ストーリー
世界は終わるのだという。今朝も、ニュースでやっていた。わたしはテレビを消して空を仰ぐ。天空に未確認飛行物体が鎮座し始めたのは、数日前からだった
それは巨大なクジラに見えた。大きな口を閉じて、時折身じろぎをする。口を開けたのは一度きり、その時、世界で一番の大国が消滅した。雲の向こうに、それはいる。
世界中で何人かは固唾を飲んで見守っている。けど、わたしのような一般市民にとってはもはや、日常風景のひとつとなっている。
わたしはスマホを起動し、Habitに挨拶をする。空に浮いている異形のクジラとは比べ物にならないくらい美しい、白いクジラがわたしのHabitだ。これは、目覚ましや連絡を教えてくれる些細なアプリ内のキャラクターで、世界が終わるときか、わたしがアプリを消すときまで一緒にいるものだと思っていた。
「ここまで育てるの大変だったんだからね」
「そうなんだ。なら、ごめんね」
わたしは玄関から出ようとした足を止めて、スマホをまじまじと見た。
白鯨が、独り言に返事を返してきた事実が、頭を冷えさせる。
規定内のセリフではない。そもそもこのアプリに音声機能はない。情報連携もない、単なるゲームの一キャラクターのはずだった。
「ごめんね。このHabitが、世界の終焉を止めたいって。ボクも、君に生きてほしいから」だから、と、相棒だったはずのクジラは言った。「だから、世界の終わりを君の力で止めてね」
「そんなこと出来る訳がない!」
とっさに言った言葉に、クジラは答えなかった。
代わりに現れたのは、丸まった小魚だった。全Habitの最初の姿に、わたしが話しかける前に、そのHabitは言った。
「世界を終わらせないために、君の人生を借りるから」
次の瞬間、わたしの目の前は真っ白となった。違う、正確ではない。わたしでない「わたし」が無数にいる世界を見た。
わたしは世界の終わりを止められる「わたし」を探した。わたしでは無理だ。だって、あのHabitと話したとき、今までの力を全部費やしてしまった感触があったのだから。
「わたしは、わたしに命運を任せる」
おそらく、空に浮いているクジラが、何かのカギを握っているはずだ。まあ、それもきっと、あの小魚のHabitが説明してくれるだろう。
「わたし、任せた」
「任された」
あなたは今、マルチバース上の「あなた」ごしに、終わりに瀕した世界を見ています。
案内人は貧弱な小魚一匹。今までのあなたは眠ってしまったようです。
さあ、世界をあなたの力を使って救ってください。
■4.重要要素
自身のアバター(主人公):
生活習慣によって能力値が変化する、主人公のアバター。彼ら彼女らと後述のモンスター「Habit」を成長させて、ストーリー内目標を達成することが本作『レベリングライフ』のゲーム内世界の大目標。
マルチバース世界での「あなた」であり、「あなた」と同じように生きてきた。ある日突然、「Habit」と「あなた」に接続され、戸惑いながらも成長を果たしていく。
相棒であるモンスター「Habit」:
彼ら彼女らを成長させて、ストーリー内目標を達成することが本作『レベリングライフ』のゲーム内世界の大目標。
多彩な進化を起こし、進化先は主人公の能力値によって選択できる。
姿かたちは主人公の意に沿い、人型から獣型、異形まで多彩に変化する。
とあるマルチバース世界の崩壊を止めるため、幼体ながら、なりふり構わずハッキングを仕掛けていたところ、マルチバース世界と異世界の主人公「二人」に接続してしまう。
性格も主人公の能力値によって変化していくが、変化しない部分として、世界が終わる段階でも前向きにできることを続ける、ポジティブな性格をしている。
行動理念として「世界の終焉を止め、幸せに生きたい」と願い、行動する。
アプリ間連携:
スマホのアプリ起動時間だけでも人物像、能力値がある程度推測できることを利用し、主人公であるあなたの能力値を可視化する。
・連携とレベリング案1
ラジオ英会話、語学学習によって主人公たちの異文化理解能力が上がり、Habitが妖精型、異形型へ進化できるようになる
・連携とレベリング案2
身体機能の記録にアクセスし、こまめに記録を残している事実や結果を能力値としてカウント。基礎攻撃力、防御力として扱う。より高度な進化を行うのに必要となる。
■5.登場人物
あなた:主人公
マルチバース世界のわたしであり「あなた」。「Habit」と「あなた」に接続された影響で、能力値が0となり、さらにその状態で世界の命運を任される。
わたしの人格は物語終盤まで眠っているが、ラストバトル前に目覚める形で邂逅し、「あなた」も白いクジラ型Habitを扱えるようになる。
周囲からは名前や地名を忘れた姿を、記憶喪失と誤解されている。
Habit:相棒
マルチバース世界の電脳生命体。数多くいる、世界の終焉を止めようとする一人であり、あなたの案内人。あなたの能力値によって進化する性質を持ち、分岐は日々増えていく。
進化先分岐は判明しているだけで下記の通り。
小魚→植物→大型植物あるいは人型
小魚→陸上生物→大型陸上生物あるいは人型
小魚→海洋生物→大型海洋生物あるいは人型
小魚→神話生物→異形神聖生物あるいは人型
どの分岐を選んでも基本的な性格は変わらず、ポジティブで前向き。これは、世界を救おうとする行動理念を持った一個体であるため。
獅子原大輔:ライバル1
世界最高位の格闘家。Habitは機械型のライオン。
ライバルたちの能力値は確認でき、目的の進化先を取るための、生活習慣の達成目標時間を示す。彼の場合は、運動時間が生活の大半を占める。
宇宙空間にいる白鯨に挑む道を模索する一人であり、彼自身が突貫することを目指している。彼と戦い勝利することで、彼を協力者とすることができるため、序盤の課題として立ちはだかる。
緑川亘:ライバル2
世界最高位の科学者。Habitは人型の雲。
理系の勉学が生活の大半を占める。
心折れた科学者であり、宇宙工学の大家でありながら、政府への協力を拒んでいる。彼を説得することで宇宙空間への道が開かれるため、中盤前半の課題として立ちはだかる。
玉井小麦:ライバル3
日常を送る、政府の人間。Habitは小型の通常の蛇。
勉学、家事、体力づくり等、自己研鑽の多い生活を送っている。
世界を諦めない大人の一人であり、部外者の一般人である主人公を巻き込むことに難色を示す。しかし、彼らだけの力では世界の終焉は止められないことがわかっており、実力を示し戦いに挑むため、中盤後半の課題として立ちはだかる。
上倉ジン:黒幕
「この銀河ですら、どこかのコンピュータのひとつの火花に過ぎないという説を知っているかい?」
Habitを限界まで育て、宇宙の卵にまで成長させた男。
成長させる過程で人間性を捨てるほどの生活をしており、宇宙の卵に育った自らのHabitに自身の絶望を吐露してしまう。
彼のHabitはどこまでも彼に忠実に、自身の宇宙のなかで育てた、最も攻撃的な神を世界に差し向けてしまう。
彼の絶望を終わらせることが、物語の終盤の課題となる。
白鯨:ラスボス
宇宙空間に浮かぶ『白鯨』。人間の認知能力を超えた姿をしており、「巨大」な「驚異」であることから、有名な小説からの連想をした人間が多いために、白鯨に見えている。
ブラックホールを通り、外宇宙からやってきた救いの神。
最終盤、主人公たちは、ライバルたちの力を借りて彼の元にたどり着き、戦い勝利することが課題となる。そうしないと、世界の終焉は止められない。
レベリングライフ:ワールドエンド 小早敷 彰良 @akira_kobayakawa
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