掌編小説・『バナナ』

夢美瑠瑠

掌編小説・『バナナ』

(これは、昨日の「バナナの日」に因んでアメブロに投稿したものです)



掌編小説・『バナナ』


 バナナ、は郷愁の果物だ。黄色くて、手ごろで、かわいい。香りもいい。なんとなく南国風のイメージで、安価で、甘くておいしい。いろんなノスタルジーを刺激される童謡の題材になっていて、ユーモラスな親しみもある。

 南国の一種の象徴というか、楽園をショーアップする恰好の風物詩として、定番になっているのがバナナ?そういう感じもあるな?

 バナナはだいたいが東南アジアとか、台湾とか、亜熱帯で産生されるのだと思うが、ほとんどそういった国のことにも、風物風俗その他にも僕は無知であります。世界情勢とかにも僕は疎いというか他人事のように思っている。NIES?新興工業国、とかBRICSとか耳には挟むが、漠然とした印象しかない。

 私見だが、台湾という国には日本人は独特の親愛感を持っている、特別な国という気がする。

 肌の色や顔立ちがほとんど同じで、アジアの国では韓国とかもそうですが、共通項が多い。それに、台湾は日本に災害があったりすると、いつも真っ先に支援をしてくれる。そういうことの尊さを忘れるべきでないと思う。

 世界が狭くなったとか、いろいろと世界の、昔はまるで無頓着で全く次元の違う世界の出来事のように思っていたあれこれの出来事が、最近はリアルな話題になっている、ならざるを得ないという、そういう世界情勢にも思う。

 政治経済や宗教、歴史その他には門外漢というか、基本的な常識的な素養すらも疑わしいというレベルで、最近は新聞すら購読していないので、ここで現代の世界を俯瞰して自己流の世界観を措定し、今後の成り行きとかを分析し、あるいは世界はどうあるべきかとかを総括、高論卓説しようというのはかなり無謀だろうが、長く生きてきたのだから自分なりのイメージはあって、その大まかなデッサンならでき得る。

 人類の草創、揺籃期には狩猟と採集の時代があって、その後穀物を栽培して保存備蓄できる時代になって、「富」が生まれた。富が生まれるとともに「階級」ができて?、社会の萌芽が形成された。原始的な社会では多神教、アニミズムがたぶん主流で、だからシャーマンとかそうした存在がリーダーだったのかと思う。

 どんどん時代とともに道具やインフラ?にたぶん様々な進歩、洗練があって、日本だと例えば邪馬台国ができて、「王国」というスタイルができた。

 で、日本神話の時代がきて、神道ができ、天皇が日本統一の王となった。中国だと始皇帝とか、ギリシャとかローマではシーザーとかアレキサンダーとかそういう英雄が跳梁跋扈?していたのが歴史の黎明期だと思う。

 だから武力で民を強力な王様が統率する時代が長く続き、現代の王政や皇室はその名残なのだ。

 時代の移り変わりとともに産業革命があったりフランス革命があったり、アメリカの独立があったり、つまりは民主主義、大衆の主権の社会へ、とやがてそういう流れになってきた。

 日本も明治維新から富国強兵、殖産興業の時代となって、近代国家になった。

 人口は爆発して、寿命も延びて、衣食住も向上して、技術革新も進んで、どんどん文明が進歩してきたのが20世紀から21世紀にかけて。この頃から資本主義と社会主義の角逐が始まって、核兵器が発明されて、キューバ危機などもあって、人類は終末におびえることになった。

 冷戦の時代が長く続いた後、ソ連とベルリンの壁が崩壊して恒久平和の到来かという機運になって、「歴史の終焉」という書物がブームになったのが20世紀の終わりごろで、その頃からインターネットとかIT技術の驚異的な発展ぶりが顕著になってきた。幾何級数的な進歩のイメージというか、技術革新がすべてを凌駕するのではないか?そうも思われ出した?そうしてそうした「第三の波」、情報革命はリアルタイムに進行中で、とてもそういう進歩の全容を把握するのは困難でしょうが?人類の進歩はある意味では極限に達しているのかもしれず、GAFAという略語に象徴される超巨大企業による支配が、資本主義のたどりつく究極形なのかとも思える?

 が、私見ではそういう運命が少なくとも人類の安全を保障する最善の流れとも思えるのですが?そういう流れに異を唱える「悪の枢軸?」が最近抬頭してきて、極悪非道な戦争を起こしたり、あるいは弱小国を威嚇したりしていて、そういう武力を使った破壊衝動とか闘争への憧れ?がどういう社会心理とか衝動に発するものか、僕にはよくわからない。

 これも何らかの歴史の必然とか?粛清なのか?


 台湾が中国に侵略されて台湾産のバナナが食べられなくなるとか?そういうことが起こるようでは日本の足元も危ういし、世界の終末すら冗談ごとではないかもしれない。

 攻撃性はいわゆるタナトス、死への衝動で男性原理。愛と平和はエロス、性愛衝動に発する女性原理の産物と、僕はなんとなくそういう二元論の世界観を抱いているのですが、世界史とかも結局そうした自己拡大衝動と自己放棄衝動のせめぎ合いに見えなくもない。  


 両方を止揚する偉大なる指導者?偉大なる知性?が必要なのかもしれない…


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