小さな命との出会いと別れ

 成長すると人のような姿になる不思議なそら豆と、それを育てる『僕』の物語。

 タグや紹介文によればボーイミーツガール、でも同時に擬似親子的な関係でもあるふたりのお話です。

 ファンタジックでほのぼのとした設定、「人のように育つ豆」がとても魅力的。
 ある種の人外もの……というほどにはモンスター然とはしておらず、どちらかといえば童話の空気感に近い印象です。
 穏やかでふんわりしていて、とにかく優しいお話。

 確かにボーイミーツガールといえばその通り、「不思議な少女との出会いの物語」には違いないのですけれど。
 でもその少女が同時に「自分の手で産み育てた存在」でもあるところが好きです。
 もっというならその結果として、「いつか訪れる巣立ち」というポジティブな形でのお別れがあるところが好き。

 いつか離れる日が来るという寂しさはあれども、でも決してネガティブな悲しみはない、その前向きな建て付けが嬉しい物語でした。