第2話 家、お風呂、過去
「1人で歩ける?」
「、はい。」
「寒くない?」
「寒く、ないです……。」
夜中にこんな薄着、寒くないはずない。まともにご飯も食べてないらしいから体も相当弱ってるはず。
「うーん、でも体温低くなると危ないから僕の上着、羽織ってて?」
「分かり、ました……。」
僕が言った事はちゃんとする、家でもそうだったのだろう。
「じゃ、帰ろっか。」
「はい……。」
「着いた〜!」
凄く大きくて綺麗な家だ。俺とお母さんが住んでた家とは全然違う。
まず広い、外から見て分かる。次に壁が白い、汚れが着いていない。
「大きくて、綺麗なお家です……」
「そうかな〜、まぁ、とりあえず上がって。」
「ほんとに、いいんですか……?」
「いいよいいよ〜」
優しい人に出会えて良かった。
「迷ったら大変だから、一応案内するね。」
「……ありがとうございます!」
一通り見終わったけど、やっぱり広いなぁ……。
「あ、そうそう、汚れてて気持ち悪いと思うからお風呂入らない?」
「お風呂……、ですか?」
「そう!暖かくて気持ちいいんだよ!」
暖かい……?冷たくないのかな。いつも冷たい水しか浴びれなかったのに。
「暖かい、んですか……?冷たくないんですか……?」
「?そりゃそうでしょ、お風呂なんだから。もしかして、冷たい水浴びせられたりしたの……?」
「はい、そうです……。」
「じゃあ僕と入る?」
人と入るなんて、怒られないかな、叩かれたり、しないかな。
「いいん、ですか……?」
「もちろん!」
「そういうなら……。」
でもこの人なら、いいかもしれない。
「ふぅ〜、気持ちよかった〜。」
「俺も、です。」
「ほんと!?なら良かった〜。」
未来ちゃんの髪からふわふわといい香りがする。入る前はボサボサだった髪もサラサラになっている。くすんでてよく分からなかったけど、僕によく似た紺色だ。
目、緑色と赤色だったんだ、凄く綺麗。
それに、一緒に入ってくれるって事は信用してくれてる、って事だと思うし、良かった。
「あの、紺さん、俺、眠い、です……。」
確かに、こんな時間まで起きてたら眠いはず。
「じゃあ、寝よっか。」
迷わないように手を繋いで寝室まで連れて行く。
「ベッドだ……初めて、見ます……。」
初めて、ということは今までベッドを見たことがなかったのだろうか。それとも布団で寝る事すらダメだったのだろうか。
「俺なんかが、ベッドで寝てもいいん、ですか……?」
「?当たり前じゃん。」
「いや、でも、……。」
「ほらほら、いいから、寝よ?」
戸惑ってる、僕なんかと寝るの、やっぱり嫌だったかな……。
「ほんとに、いいんですか?」
「うん、いいよ?」
「じゃあ……、寝たい、です。」
良かった、僕が嫌な訳ではらしい。
そう思いながら2人でベッド寝転ぶ。
「じゃあ電気、消すね。」
途端部屋が真っ暗になる。
「怖くない?大丈夫?」
「えぅ、あ、……だいじょ、ぶ、です……。」
泣いてる……?大丈夫じゃ、無さそう。
「ごめんね、真っ暗、怖いよね……。」
そう言いつつ抱き寄せる。
「っ……、。」
「泣いていいから、迷惑じゃない。」
無理に我慢させるのも気が引けるし、感情を表に出して欲しいのもある。
「うっ、く、ふ、う、ぁあ……」
静かに泣き始める。
「大丈夫、大丈夫、僕が傍にいるから。」
「っ、ふ、あ、……、は、い……、」
背中をトントン、と一定のリズムで優しく叩く。
「ん、ぅ……すぅ……すぅ……」
穏やかな寝息を立てて寝始める。
こうしてみると、年相応の子供に見える。
「そろそろ、僕も……眠く、なってきた……な……、寝よ、う……。」
明日の事は明日考えればいい。
僕の意識はブラックアウトした。
世界にさよならを 柊月 紅夜 @ayune4946
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