第43話 討伐開始

カイルに掴りウイマにまたがって、トウヤたちの後ろを追いかける。


30分ほどたったころ、トウヤ、ダグ、ロキのウイマが止まる。


3人がウイマをその場につなぎ、徒歩に切り替えた。


トウヤとカイルが目を合わせて頷き合い、3人がどんどん前に進んでいく。


そこをだいぶ後ろの方から、カイルとウイマにまたがってついていく。


カイルが小さな声で話しかける。

「メグミ、ここから20 mぐらい先に5頭ほどのコーネルの群れがいる。向こうもこちらに気づいているから、いつでも逃げられるようにしっかり掴っていて」


「はい」


草木の中で見えにくいが、よく見るとこちらを見つめる何頭かのコーネルが見える。

よく耳を澄ますと犬が威嚇するような声も聞こえてくる。


トウヤ、ダグ、ロキはその群れを包囲するように取り囲む。


それぞれのカバンに入れていた先端がとがった石10個がコーネルの群れの真上に上った。


1頭のコーネルが大きなうなり声をあげて、トウヤに向けて走り出そうとする。


その途端、コーネルの頭上に上がった石が急落下して、コーネルたちの体を貫き血が周囲に飛び散った。


ウイマの手綱をもつカイルの手の力が緩んだのが分かった。


トウヤがこちらを見て頷き、ダグとロキはそのコーネルの群れに向かっていく。


「行ってみようか。ちょっと、なかなかの光景かもしれないけど大丈夫?」


「大丈夫です」


カイルとともにウイマを降り、狩られたコーネルの群れに近づくと、血まみれになった見えた。


一瞬目を背けたくなるような光景ではあったが、よく見ると石がそれぞれのコーネルの脳と心臓を的確に貫いている。


すごい、言葉を交わさずにここまでの連携。そして、正確なミーのコントロールによる的確な物体の扱い。


感心していて気が付くと、カイルやトウヤ、ダグ、ロキがコーネルに向かって手を合わせていた。

つられて私も手を合わせた。


「どうだった?ちょっとびっくりした?」

トウヤが少し心配そうにしていた。


「いえ、少しびっくりしましたけど。でも、やっぱり皆さんすごいですね。こんなに正確にコントロールできるのは」


「そうだな、たくさん練習したよ。コーネルも生き物だから痛みを感じる。だからできるだけ、苦痛を与えないように脳と心臓に一撃で致命傷を与える必要があるからね」


トウヤのに続けてダグも話す。

「コーネルが増えたから人を守るために減らそうっていうのは、なかなか心が痛いよね……だから、せめてこのくらいのことはしてあげないと」


ロキも続けて「俺たちが魔法を極めるのは、人を守るためでもあるし他の動物たちにも優しくあるためだからな」


3人とも家で見たときとは比べ物にならないくらい真剣な表情をしていた。


その後、5人で大きな穴を掘りもう息がないコーネルたちを埋め、再び手を合わせてウイマにまたがった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

2つの世界をつなぐ1人の少女 かおる @kaoru_s

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ