〜夏に落ちる涙の雫〜
カオさん
エゴイストの恋愛賛歌
花火が上がると空が色鮮やかに輝く。恋心が線香花火の様に燃え上がる。
浴衣からチラりと見える彼女の足は綺麗で仕方がなかった。
彼女が欲しくて周りを見渡してみた。気分は品定めをする大富豪のようだ。
「Eeny, meeny, miny, moe.」
作りたくて仕方なくて、やっとの思いで出来た彼女も二週間と続かなかった。一周まわって面白い話だ。
不思議と涙は出なかった。愛した女が俺の元から離れたのに全く寂しくも無かった、むしろイラついてきた。
恥ずかしいことだが...別れた女の悪口を周りの友達に言いまくった。強がって涙を押し殺すように───
──虚勢だ。虚勢を張っていたんだよ。
「人と別れた如きで涙を流すのは恥で小心者だ」と思っていたからだ。
口から出る言葉が止まらなかった。ライフル銃の様に、1度放つと止まらない。
口に含んだ水を思いっきり吐き出すように爽快な気分だった。
何も罪悪感を感じることは無かった。言いたいことを言えてかなり気分が晴れていた。
もっとも、1つ教訓を得ることが出来た。恋愛は焦らなくていいんだとわかった。
焦れば焦る程見る目が鈍ってくるからな。
恋愛は低学年の一年生が思い描くようなキラキラとした、仲良く肩を組んでやっていく様な恋愛ばかりでは無い。
思わず目を逸らしたくなるような恋愛も、自分がもしそうなったと考えたら心が苦しくなるようなことも、
恋愛の種類というのは我々で言う人種と同じなのだ。
確かに理想と違った。小学生の頃に思い描いたキラキラ且つ楽しみに溢れた恋愛は、理想より....ずっと難解で、悲しかった。
リアルもネットも寂しさに溢れてた。そんでもって、簡単だった。
何が簡単か、それは───
「関係の構築と崩壊」だ。
関係を作るのは簡単、ただ関係を切るのも簡単だった。
俺は大切に思っていた。愛していた。でも振られた。それは相手が俺を大切に思ってくれていなかったってことだ。アホな期待をした俺は愚か者さ。
連絡も無しに他の男と付き合い、堂々とTwitterで──
「彼氏とこんなに通話しちゃった〜!」
と惚気けていた...。俺は1人部屋で気付いた。
「どれだけ愛しているかと言葉で示すだけでは伝わりきらないんだ.....。やはり行動で無いと...。」
思っているだけでは伝わらない、よく言った言葉さ。
ネットもリアルと変わらない。
どちらも信じるもんじゃあない、振られて悪いのは自分だ。スマホ越しでしか言葉を交わせない虚しい恋愛をした自分が。
.....分かっていても口から出てくる言葉は──
──俺は悪くない。あいつが悪い。
入り乱れる互いの愛と互いの嘆き、悲しみがいい味を生むんだ。
妬み・苦しみ・悲しみ。一つの作品のようだ。
恋愛に都合もクソもない。双方のエゴの押し付け合いだが、それ等を互いに認め合う事で上手くいくのが恋愛なのさ。綺麗事は嫌いだが確かにそう思っている。
どれだけ愛すか?それよりどれだけ互いを知り、認め合うかどうかだ。
愛は無敵なのでは無い。そんなのは貧弱者の虚勢だ。
〜夏に落ちる涙の雫〜 カオさん @KAO_SAN
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