ツンデレ幼なじみ女子による強制同衾の夜

 深夜、幼なじみの男子の部屋に侵入し、その布団にまで入りこむ少女のお話。

 おおよそタイトル通りの現代ものです。
 本文すべてが主人公の少女による語りかけになっているのが特徴的。
 いわゆる朗読向けのシナリオのような形式です。

 以下はネタバレを含みますので未読の方はご注意を。



〈 以下ネタバレ注意! 〉

 ざっくりいうなら青春ラブコメ的なお話……には違いないのですけれど、ちょっと叙述トリック的な変化球を含んでいるところが楽しいお話。

 そのまんま核心をネタバレしてしまうと、語りかけている相手であるところの幼なじみの少年が、なんと最初から亡くなっています。
 一応、最後の方まで明言はされないのですけれど、ところどころ「もしかして、これって……」と思わせるところがあり、うっすら予想できるところがとても好き。

 要は幽霊か何かとなって幼なじみの少女の独白を聞いている状態を疑似体験するお話であり、いわゆる「曇らせ」的なものが好きな人にはたまらないと思います。
 また、わりと「看取らせ」に近い感じの楽しみもあるかも(既に亡くなった状態ではあるので厳密には異なるものの)。

 単純に短編小説としてのそれはもちろん、音声作品として想像したときの味わいもまた魅力的なお話でした。