最終話 『運営』
俺は最強魔王リボリボルを倒した。しかし、俺の目の前にはたくさんの人々が倒れていた。ルージュちゃん。パパレ。俺の大好きなみんなは死んでしまった。
「ルージュちゃん、パパレ。それに他のみんなも……」
その中で一人だけ立ち上がってきた者がいた。女神クレアだ。
「あなたやったじゃない。凄かったわね」
女神クレアが呑気に話しかけてきた。
「いやいやいや、女神が死んだフリしてたらダメでしょ。みんな死んじゃったんだよ」
さすがの俺も全く悪びれていない女神にはドン引きだ。
「死んだフリ? みんな死んじゃった? あなた何を言っているの。私は慈愛の女神よ。みんなを見捨てるわけがないじゃない」
「ん? どういう事?」
「私は慈愛の力でみんなが死なないようにずっと加護していたのよ。あまりに数が多くて立っているのも辛いから寝ながら慈愛の力を出していたわ」
「えっ、じゃあクレアは死んだフリじゃなかったの? 加護してたって事はみんな死んでないの?」
「あなた相変わらず失礼ね。だから私は慈愛の女神なのよ。私の前で誰一人だって死なせないわよ。ちょっと待ちなさい」
そう言って女神クレアは再び寝転んで、慈愛の力を送り始めた。
「ふぅ、このぐらいでいいかしら」
女神クレアが慈愛の力を送り終わると、次々に倒れていた人たちが起き上がる。
「えっえっえっ、私どうしちゃったのかな」
ルージュちゃんがキラキラしながら復活した。
「みんな起きてる。パパレのお父さんとお母さんも元気だ。あっははー」
パパレも元気に復活した。
「ルージュちゃん、パパレ!!!」
俺は復活したルージュちゃんとパパレに抱きついた!
あの忌々しい〈セクハラは禁止です〉というメッセージは表示されなくなっていた。
「俺が
「えっえっえっ、
「パパレもお兄ちゃんのことが好きだけど、お兄ちゃんはお姉ちゃんに譲ってあげる。お兄ちゃんとお姉ちゃん、結婚だね。あっははー」
「えっ、俺とルージュちゃんが結婚。あわわわわわ」
「えっえっえっ、シンヤ君と結婚。えっえっえっ」
「あわわわわわ。ルージュちゃん、結婚して下さい」
「えっえっえっ、はい」
全ての魔王がいなくなった平和な世界で俺とルージュちゃんは結婚して仲良く暮らした。
俺とルージュちゃんの家には毎日、パパレが遊びに来る。
そして。
ここは神界。
異世界への転生者はすべからく、この場所へ召喚される。
神界で転生を司る美しい女神の1柱クレアが、転生者へ話しかける。
「転生者であるシンヤよ。あなたは何故またここに来たのですか?」
「久しぶりだね、そのくだり。別に用はないけど暇だったからさ。クレアと少し話でもしようかと思って」
「あなたねぇ。いくら神界への出入りが自由になったからって暇潰しに来ないでもらえるかしら。私は忙しいのよ」
「ああ、そうだったね。世界を救った勇者を担当した女神として最高神様になったんだっけ」
「そうよ。やる事が多くて困ってるのよ」
「ふーん、クレアが相手してくれないなら漫画でも読んでいようかな。また俺好みの漫画を用意してもらえる? あとハンバーグランチも」
「だから私は最高神になって忙しいって言ってるでしょ。でもまあいいわ。ちょっと待ってなさい」
「さすが最高神クレア様。ハンバーグランチ食べ終わったら大人しく帰るから」
異世界での生活も楽しいが、運営の居心地も悪くない。一度くらいルージュちゃんとパパレも連れてこよう。
俺は
〜あとがき〜
これで完結となります。最後までお読みいただきありがとうございました! たくさんの応援をいただき励みになりました。本当にありがとうございます!
転生!リセマラ勇者〜神様は世界を救う転生者の事を考えているの?エアプなの?〜 同歩成 @Anantoca
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