戦隊ヒーローになるという小説はここカクヨムサイトでいくつか見かけたことはあるが、本作は異色。なんと5人全員が「俺」なのだ。…いや、なんでそうなるのか、読んでみればわかる。5人中4人が「俺」、残る1人も「性別違うけど俺」。右を見ても左を見ても俺。俺をちょっと尊敬する俺。俺といい雰囲気になる俺。会議をしても全員俺だからモメることもなし。もはやあなたの理解力は、俺で大渋滞。そしてかわいらしい美少女の敵を、分析ならぬ観察してしまう5人の俺。そんな阿鼻叫喚のカオスで幕を開けた第1章は爆笑必至だが、第2章からなにやら不穏な流れに。真の敵が姿を見せ始め、分身戦隊オレンジャーズ(つまり全員俺)の本当の戦いが始まる。果たして彼らは地球を守ることができるのか。俺が5人という状況はどうなってしまうのか。第2章以降は、笑いだけでなく戦闘描写もしっかり味わえる。爆笑と戦隊モノ、一挙両得の小説。公共交通機関で読む際は吹き出し注意。