第75話 王都最終決戦(後編)

 俺は異世界に来て初めてブチ切れた。

 俺は怒りのまま魔王リボリボル第2形態へ斬りかかる。


 ノーマルスキル「烈風斬!」


 俺は無意識に最も得意なノーマルスキルを繰り出していた。

 しかし、魔王リボリボルにはかすりもしない。

 無常にも魔王リボリボル第2形態の方が強かった。


「ふん、なんだそれは? それで俺様に勝つつもりだったのか。先ほどの2人の方が圧倒的に強かったぞ。このカスが!」


 俺は散々に叩きのめされ、王都の神殿まで吹き飛ばされる。


「ブッフォォォッッ!」


 俺は何度も立ち上がるのだが、その度にブッ飛ばされる。


「何が勇者だ! 口だけのザコが! そろそろ死ね!」


 俺がいよいよ死にそうになったその時だった。

 神殿の女神像が輝き出し、上空に巨大な【神界の本棚】が現れた。

 続いて勇者像が輝き出し、最高神様と一緒に【神界の本棚】を作ったと言われる初代勇者の幻影が現れ、俺に向かってこう言った。


「私は存在削除リセットという己の存在をこの世から消すという恐ろしい行為をしてまでスキルを追い求め、世界を救う覚悟を持つ者を待っていた。お前が今まで引いた全てのスキル本を与えよう」


 えっ、存在削除リセットする時に俺はそれほどの覚悟は持ってなかったけど。発作的に存在削除リセットしちゃったくらいだし。そう思ったが、くれると言うので遠慮なく、数千ものスキル本を頂いた。大半はリセマラマシンと化している時に引いたスキル本だ。鬱になって死にそうになったのも無駄ではなかった。


 俺は、凄い数のスキルを身につけた。

 そして、ハズレ枠だと思っていた各ステータスが+5%アップするだけのノーマルスキル本。これが累乗で加算されていく。それにより全てのステータスがカンストした。俺は図らずも最強の勇者になり、そしてクソ調子に乗った。


「俺は最強のリセマラ勇者。魔王を倒し世界を救う者」


 クソ調子に乗った発言をする俺に怒り、魔王リボリボル第2形態が襲い掛かってくる。俺は魔王リボリボル第2形態へ向かって魔法を放つ。


 巨大な爆炎が魔王リボリボル第2形態を焼き尽くす。


「グ、グワアアアアアア。何という威力のレアスキルだ……」


 クソ調子に乗った俺はその言葉を聞き、魔王リボリボル第2形態へ向かって言い放つ。


「今のはレアスキルではない。ただのノーマルスキル〈火球〉だ」


 レベル1の時は目の前の枯れ葉を燃やしただけだった。それがステータスがカンストした今では、目の前にいる最強魔王を消滅させる程の威力になった。しかし、魔王リボリボルは第3形態となり復活した。


 俺は魔王リボリボルが第3形態へ変化しようがお構いなしに、ノーマルスキル〈氷弾〉を放つ。ルージュちゃんが最初に覚えた得意の攻撃魔法だ。


「これはルージュちゃんの分! 氷弾!」


 尋常ではない氷の礫が魔王リボリボルを覆い尽くす。魔王リボリボルは〈氷弾〉により砕け散ったが、第4形態となり復活した。


 俺はいくら進化しようが気にせずに魔王リボリボルへ攻撃する。今度はパパレお気に入りのレアスキル〈雷鳴の乱撃〉だ。


「これはパパレの分! 雷鳴の乱撃!」


 轟音が鳴り響く。俺は雷を纏い魔王リボリボルを殴打する。魔王リボリボルは跡形もなくなったが、第5形態となり復活した。

 俺は復活してくる魔王リボリボルを何度だろうが叩き潰す。


「これはパパレのご両親の分!」

「これはブリランテ様の分!」

「これはピンク髪で可愛い神界の仕事人の分!」

「これはマイマイさんの分!」


 そして、俺は宣言する。


「いくらでも復活するがいい。俺は最強のリセマラ勇者、際限なく同じことを繰り返すのは大得意だ!」


 俺は魔王討伐マシーンと化し、ますます調子に乗りお気に入りのノーマルスキルを繰り出し続ける。


 ノーマルスキル「烈風斬!!!」


 俺は得意のスキルで魔王リボリボルを消滅させる。その度に魔王リボリボルは復活してくるが。


「グワアアアアアッ、なんだコイツの強さは……。なぜ何度でも復活する俺様に絶望しないのだ……。それどころか嬉しそうにしていやがる……。コイツ怖い……」


 最終的に魔王リボリボルは第6666形態まで変化したが、俺はそのことごとくを打ち倒した。俺は最強と言われる魔王リボリボルに完勝した。

 俺が最強のリセマラ勇者だ!



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