龍人の脱皮のお手伝い

 とある長距離列車の中、たまたま乗り合わせた珍しい乗客の、その尻尾の皮を剥くお話。

 長旅の中でのちょっとした出会いを描いたファンタジー……なのですけれど、でも本当に「タイトル通り」という印象の物語です。
 いやもう、本当に尻尾のインパクトが強くて……。

 龍の尻尾が生えた人の、その尻尾部分の脱皮をなぜか手伝わされる、という筋なのですけれど、その描写の生々しさがとにかく鮮烈でした。
 なんというか、こう、「性的」と言ってしまっては本当に語弊しかないんですけど、なんらかのフェティシズムをもりもり刺激されちゃうような感覚。

 もちろん、単に尻尾を剥くだけの話というわけではありません。
 楽しそうに旅をする青年たちを見つめたり、また主人公自身のちょっとした過去を振り返ったりと、ホッとするような旅情の物語でもあります。
 ……のですけれど、やっぱりタイトル通り尻尾の印象が鮮烈な物語でした。