息子の目から見た「父親の恋」

 老いた父親の恋を見守る、あるいは目撃しちゃうことになった息子のお話。

 堅実で堅牢な質感が魅力の、現代もののドラマです。
 もちろん恋愛ものでもあるのですけれど、色恋の当事者でなくその息子が視点を担うため、親子の関係性を描いた物語としての味わいもあるのが素敵なところ。

 父と息子の間にある、何か微妙で複雑な機微のようなもの。
 特に、「父の恋そのもの」は応援する気であったのに、しかしいざ現実に「父の男としての側面」を目の当たりにして、つい複雑な感情を抱いてしまうところなんかはもう本当に大好き。

 また、恋の詳細が直接語られることはなく、想像に委ねられているところも。
 リアルさというか、創作らしい大袈裟な誇張などがなく、現実にあってもおかしくない範囲に収束しているのが魅力な作品でした。