日本の鉄道開業150周年に寄せて
2022年10月14日、新橋と横浜を結ぶ鉄道が開業して150年という節目を迎えました。
幼少から鉄道に慣れ親しみ、学生時代には鉄道研究部の部長を務め、私鉄に入社して電車車掌を13年ほど勤めた私は、現在は鉄道を取り上げた小説を書いています。
おこがましい話ですが、鉄道が歩んだ150年を私のカクヨム掲載作で振り返ってみます。
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稲荷狐となまくら侍 -明治あやかし捕物帖-
深夜特急
https://kakuyomu.jp/works/16816700429108467966/episodes/16816700429195673603
時は明治9年。夜な夜な幽霊列車が現れる噂を聞きつけた高島嘉右衛門は、稲荷狐コンコと日陰者の若侍リュウに退治するよう電信で依頼する。
幽霊列車の正体とは? コンコとリュウは退治出来るのか?
コンコとリュウを雇う高島嘉右衛門は早くから鉄道に着目し、神奈川駅(現・横浜駅北寄り)〜横浜駅(現・桜木町駅)の海上線路を建設した大人物です。
鉄道開業の頃、東京市内に馬車鉄道を張り巡らせようと計画しました。却下されていなければ、都電・都バス路線網の祖となっていたはずです。
当時は23時までの運行で、そのあとに外国人専用の臨時列車が走ることもありました。
ブレーキは汽車とブレーキ車の2両だけ、一括制御出来なかったので汽笛で合図をしていたそうです。よく停めていたな……。
開業当時、需要がサッパリわからなかったので客車と貨車を半々で用意しました。実際に走ってみると人が乗る乗る……貨車を改造したと思われる三等客車もあったようです。
当時の鉄道描写はIORI工房様のツイートが参考になりました。ありがとうございました。
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雷翁伝
https://kakuyomu.jp/works/16816927860037671010
日本が鉄道網を広げた時代に活躍した鉄道建築技師→実業家→政治家を務めた仙石貢の鉄道史。
偉業の多い奇人変人ですが、思ったより知られていません。
何故かと思ったら、そもそも研究されている方が少ないんですね……。仙石の回顧録をまとめたホームページを参考に執筆しましたが、他の資料が見つかりません。
そんなこんなで駆け足な物語になってしまいましたが、本当に面白い偉人です。
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列車食堂
https://kakuyomu.jp/works/16816700429063424924
戦前の昭和黄金期、日本中に洋食を広めたレストラン・食堂車の若きコック・ハチクマの物語。
忍び寄る戦争の足音に列車食堂は、ハチクマはどこへ向かってしまうのか──。
断片的にしか判明していない、私の実祖父が辿った戦前の足跡をモデルにした物語です。
ハチクマは昭和8年当時で20歳くらいの大正生まれですが、祖父は明治38年生まれと、かなり若く描いています。経歴も物語の都合で入れ替えていますが、母から聞いたエピソードや人柄をキャラクター作りに反映させています。
数字に弱いのは、私自身がモデルです……。
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椰子 -電車の女学校-(公開停止)
椰子の実ひとつ -電車の女学校-(修正再掲)
https://kakuyomu.jp/works/16817330649263647778
昭和18年に開校した広島電鉄家政女学校を描いた物語。
路面電車は建設省系の「軌道法」ですが、宮島線が運輸省系の「鉄道営業法・事業法」なので、ご勘弁を……。
証言集がよく知られ、ドラマや漫画にもなっており、時代と舞台から先が想像出来てしまいますが、今は少女たちが電車に乗せた青春を楽しんで頂ければ──という段階です。
昔の話ということもあり、女学生の記憶も曖昧なので「?」な証言が散見されます。車掌として勤めた経験や得た知識を使って訂正していますので、引用した資料と異なる部分がございます。
その旨、ご承知ください。
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プラットホームにて
https://kakuyomu.jp/works/16816927861897153923
イベントで書いた、在りし日の大垣夜行と救済臨をモデルにした短編です。
学生時代、滋賀県大津市へ旅行するために青春18きっぷで毎シーズン利用していました。当時の夜行列車の雰囲気もお楽しみください。
ちなみに物語のような経験はありません。
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臨時高速貨物列車異世界行き
改題して
ジャガイモ満載貨物列車が異世界転移し無双する
https://kakuyomu.jp/works/16816927862417235806
異世界ジャガイモ問題に業を煮やして書いただけの、ノープロット小説です。北海道で収穫された大量のジャガイモを、何で運んでいると思っているんだ!
異世界に大量のジャガイモを転移させて文芸界に平和をもたらそうとしたはずが、アホみたいに鉄道描写にこだわってしまいました。
最近では停めたい運転士サガと特攻したい祈祷師テレーゼアとの運転台でのせめぎ合いになってきた……。
車掌だったので電気機関車はおろか電車を運転した経験はありませんが、見聞きした話や車掌としての経験、趣味的に調べたことをベースにして運転を描写しています。
間違っていたら、すみません。
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以上がカクヨムで公開している鉄道描写のある拙作です。
鉄道を描きたくて小説を書いているわけではありませんが、戦前に食堂車コックをしていた祖父や私自身の趣味・経験から、描きやすいテーマであるのと、現業目線の鉄道描写は私の強みという自負があります。
また、あまり知られていない鉄道現業の苦労や楽しみを伝えたい、という思いもあります。
これからも機会のある限り、鉄道を描いていければ、と思っております。
自分もそのひとりということは、さておいて。
この節目を迎えることが出来たのは、150年にわたり日本の鉄道を支えてきた皆様のお蔭です。
ありがとうございます。
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