先のことを考えるのが怖い

 社会に適合できなかったと思われる中年男性が、公園で不幸せな少年と出会うお話。

 シリアスな読み口が魅力の、現代ものの掌編です。
 もう本当に大好き……。

 わずか4,000文字の中にギュッと詰まった、この「詰み」の感覚の重苦しさ。
 強烈です。静かに、でも繰り返し重いボディブローを打ち込まれているかのような、とにかく〝効く〟読み味でした。

 明確に起きた出来事としては、本当にただ「おじさんが少年に出会ってちょっと親しくなる」くらいのものなのですけれど、たったそれだけの中にこんなにも濃厚な物語があるのがもう本当にすごい。

 主人公の置かれた現状の閉塞感や、少年の様子や言動から垣間見える「不幸せ」など。
 読み取らされてしまうものの味と栄養価がどこまでも濃厚で、もうのめり込むように読んでしまいました。

 大変面白かったです。
 これだけのものを書き著し切ってしまう筆致の凄まじさも含めて、本当に読み応えのある物語でした。大好き。