やせいのJKが あらわれた! ▶にげる ぼくは にげだした! しかし まわりこまれてしまった! やせいのJKから にげられない!

とほかみエミタメ

第1話

 野生動物……その中でも人畜や農作物などに被害を与える鳥獣を有害鳥獣と言う。クマやシカ、イノシシやサル、スズメやカラスやムクドリ辺りが、ここ日本では代表格であろう。


 ところが、こやつらケダモノを優に超える害獣が、今や社会問題となってしまっている。そう、それが野生の女子高生、通称・野生のJKである。


 人語を解し、普通に日本語を喋る彼女らは、見た目も中身も通常のJKと一切変わらない。だが、飽くまで野生のJKはカテゴリー的には野生のけもの扱いなので、法律なんぞは一切関係ない。


 例えば、野生のJKが住居侵入罪をかましたとて、絶対に彼女らが罪に問われる事はないので、正にやりたい放題の無法者なのである。※逆に通常のJKが野生のJKになりすますのは犯罪です。ダメ。ゼッタイ。


 連日の様にTVニュースで野生のJKがコンビニに突進しただとか、大都会に出没して縦横無尽に走りまわっただとか、最悪の場合は野生のJKに襲われて、死傷者が出てしまうレベルの事件が相次いで発生している現況である。


 それ故に、今では「JK」の部分を「邪魔な糞餓鬼くそがき」だとか「邪悪な小砂利こじゃり」みたいに、特にネット界隈では大喜利状態だったりする。ちな、良い意味でのネーミングを考えてくれる勢はほぼほぼ皆無である。


 とは言え、この「僕」の感度としては、所詮はTVやらネットの向こう側での騒動と言った感覚であり、完全に対岸の火事であって、かなり現実味に欠ける事柄であったのだ。


 ところがどっこい、この「僕」の住まう家屋にも、ついに野生のJKが姿を現しましたので、こいつは本格的に、さあ大変だってなお話で御座いますですよ。


 野生のJKと通常のJKを見極めるのは至極簡単で、あからさまに短いスカートを履き、下着を見せつけてくるのが野生のJKである。


 そう、通常のJKならば、どんなにスカート丈を短くした物を着用しようとも、鉄壁のガード戦法にて、そうやすやすとは他人に下着を見せない努力を怠っていないからだ。


 あとは口癖が「マジで」「ヤバい」「ウケる」等々の、所謂いわゆる三文字系だけで会話が成立しているのならばハイパー要注意である。


 JKとは女子高校生の略称……言わずもがな学生である。学生の本分は学業であるからして、それこそ現役の高校生ならば、現在進行形で勉学をお学び中であり、先述の様に語彙力が乏しい訳がないのである。


 とまあ、これら上述の特徴を踏まえているJKならば、高確率で野生のJKであると考えて間違いないであろう。


 それから、野生のJKは大きく分けて二種類に分類される。それがセーラー服種とブレザー服種である。


 しかしながら、近年セーラー服種は時代の流れも相まって絶滅の傾向にあり、圧倒的にブレザー服種の数が上回りつつあるようだ。


 理由として挙げられるのは、セーラー服はブレザー服に比べて重ね着がしにくい事や、温度調整が難しい事、更には女子学生然としたイメージが古臭さを感じさせる事等々で、今現在多く見られる野生のJKはブレザー服種が大半となっている。


 因みに希少種となりつつあるセーラー服種は天然記念物に指定されており、野生のJKが住宅地区に出没した場合は、排除の為の必要経費が、国からの全額補助と言う形で受けられる仕組みとなっている。


 ここまで手厚い補助金が下りる理由の一つとしては、かつて過去に一度だけ大量発生し、環境にも影響したルーズソックス種と言う野生のJKの亜種が居たそうである。


 しかし、増えすぎた野生のJKと言う物は必ず自然淘汰(オワコン化)される運命らしく、一人残らず絶滅したかと思われたのだ。


 だが近年、ルーズソックス種の野生のJKが、少数だが発見&保護されており、種の存続の息を吹き返しているとの事である。


 同じ過ちを幾度も繰り返す日本国政府であるが、この件に関しては異様なくらいにスピーディーに政策を進めやがったのである。……何ともはや、他の事もこれだけ熱心に取り組んで頂きたいものでありますな、このドスケベ国会議員どもめ!


 とまあ、そんなこんなで、例によってこの「僕」の自宅に住み着いてしまった野生のJKは、無事にブレザー種でありましたとさ。(ノω・、`) トホホ……。


 ただ、希望があるとすれば、野生のJKも細分化すると様々な種類が居りますもので、見た目も清楚なタイプ(出来れば黒髪ロング×ストレートを所望)であったのならば、比較的大人しいケースが多いのだ。


 されど、その期待は即座にあっさりと叩き壊されてしまう。


 くじ運が取り分けて悪い、この「僕」の家に御出ましを賜りやがったのは、案にたがわず、茶髪ツインテールのちょっとヤンキーっぽい白ギャル系野生のJKだったのである。あーあ、この手のたぐいの野生のJKは、桁違いにタチが悪いので絶望しかないのだよ。……ただ、最も狂暴で凶悪な金髪黒ギャル系野生のJKじゃなかったのは、せめてもの救いではあったのだがね……。


 合鍵を勝手に作っての不法侵入はデフォであり、買い置きしていたお菓子なんかは、まず速攻で喰い尽くされるものと心得よってな感じなのである。


 しかも、この種の野生のJKときたら、服装だって制服を着崩すわ、ローファーだってかかとを踏み潰すわで、とってもだらしなく見えてお下品なのだ。


 これが通常のJKだったのならば、常日頃から制服をきちんと着こなしているし、どうしても踵を踏みたいと言うのであれば、ちゃんと踵を踏んでも良いローファーを購入するオサレ意識がマキシマムなものでね。


 従って、斯様かような野生のJKを追い出したい気持ちでいっぱいになり、こちら側としてはフラストレーションが溜まる一方なのである。


 けれども、ご覧の通りに、見た目も中身も通常のJKと遜色が無い、野生のJKを独力で排除しようものならば、何か間違いがあった時に、人権団体や動物愛護団体、果てはフェミニストのお歴々が黙っちゃいない。


 それでなくても、野生のJKに「この人痴漢です!」ってな台詞と共に交番に駆け込まれた日には、社会的に一発アウトであるからしてね……。


 何れにせよ、素人が野生のJKを自力で何とかしようとするのにはリスクが高すぎる訳である。


 なので、害獣駆除業者に依頼連絡をすると言うのが一番現実的な方法なのではあるが、JKウケがよい芸能人やタレント、或いは大人気ユー〇ューバーやティック〇ッカーと言ったインフルエンサーの方々を使って説得を試みる為に、馬鹿みたいに高額な費用がかかってしまうのである。


 かと言って、素人が勝手に野生のJKの好きなスイーツやコスメを捕獲の餌に使用して、追い払うやり方は絶対にNGである。この場合、下手をすると野生のJKがいたく気に入ってしまい、もっと寄越よこせとの横柄な態度にて、反対に居付いてしまう可能性が濃厚なので非常にリスキーなのだ。


 しかも、もっと酷い野生のJKともなると、ナチュラルに土足で屋内に入って来やがりますのよ。欧米とかならいざ知らず、ここは日本だぜ、オーマイガー。


 安易に近づく事さえもままならぬ、めちゃんこ危険な生命体……それがこの野生のJKなのである。


 そんな訳で大抵の一般市民となると、野生のJKに対してなす術がなく、泣き寝入りが多いのが現状である。


 これは余談だが、JKと言う存在は、とまれかくまれ流行に敏感である。その上最新のスマホをいとも簡単に使いこなすあの器用さ+次から次へと新語を生み出すクリエイティビティよ。


 今や時代の最先端を生きている人類と言っても過言ではないだろう。詰まるところ、これは先見の明がありよりのありであるのだと個人的には強く思う次第である。


 そうであるならば、我が国の政治と経済をば、丸っとJKにやらせてみれば万事上手く回りだすのではないかと考えるのだが、如何であろうか。一度お試しあれよ、日本国政府さんや。


 御託ごたくが過ぎた。話を戻そう。


 さて、野生のJKが民家に入りびたる事によって、発展するトラブル事情ナンバーワンが家庭崩壊なのである。


 繰り返しになるが、例え野生のJKとは言えども、見た目も中身も通常のJKと変わらない彼女らである。


 悲しきかなスケベでロリコンが満ち溢れている我が国・日本の男どもはだね、やっぱり野生のJKを目の前にしてしまうとデレデレとしちまう訳である。


 それにより、もしも妻子持ちだった場合は、奥さんやお子さんとの不仲を招き、最悪の場合は離婚と言う形に着陸する案件が後を絶たないのである。


 更に更に、もっと卑劣な不届き者となると、野生のJKを性的に食べてしまう猛者も居るのだから世も末である。


 良識ある人間ならば、野生のJKに手を出すなど、そげな恐ろしき事なぞ思い付きもしないのだがね。そんな不逞ふていやからはオチン〇ンを噛みちぎられてしまえば良いと思うのこころ。


 その点、幸か不幸か、この「僕」は一人暮らしの気ままな成人独身野郎(童貞)だ。併せて完全無欠の熟女好きであり、性的嗜好せいてきしこうは熟女一択の狩猟民族である。モチのロン、アダルト映像や成人向け漫画etc.のも熟女モノ一辺倒なのよ。むふふ、50・60(歳)、喜んでってなもんなのだよ。(*゜∀゜)=3ムッハー


 人間は、それぞれの年齢に応じた「色気」と言うものがある。女性はその「色気」の部分が、特に輝いていると自分は感じている。無論、若い頃にはその時の魅力があり、歳を重ねれば、また相応の輝きを放つのである。


 うむ、結論:女性はいくつになっても可愛らしい。よし、これで行こう。

 (⋈◍>◡<◍)。✧♡。↑※個人の感想です


 さあさあ、当の「僕」はと言いますと、野生のJKとの共同生活とは、未来型の高度なシェアハウスなのだと半強制的に思い込み、あれやこれやと深く考える事を諦めた。


 そんな感じで、この様な「僕」の家に住まい始めた野生のJKは、この「僕」に向かって「BBAマニアとか超キモい」を連発してきよるのである。


 ……君もいずれは歳を取るんやで……。と、この台詞が真っ先に脳裏をよぎったのではあるが、この「僕」は言葉にするのを止め、無言でTVゲームに興じる。だって怖いからね。もしも野生のJKに聞こえてしまったとすれば、100%ブチ切れるだろうしね。


 ふん、馬鹿め。どんなに野生のJKがリアルJKの見た目で誘惑して来ようが、この「僕」には微塵も通用せぬのだよ。生粋の熟女好きを舐めんじゃねえぞ。高々10代のガキに、三十路後半から溢れ始める大人の「色気」は到底醸し出せる訳がないのだ。残念だったな愚か者よ。


 この「僕」の心は熟女の物さ。未成熟な♀そのものである野生のJKなんぞ、卑猥な目で見る事は絶対にあり得ないのだから。


 んまあ、あと30年経ってから出直して来て下さい。またのお越しをお待ちしております。


 そんな感じなものだから、あまりにも野生のJKに興味がないこの「僕」に憤慨したのか、ふいに野生のJKが「ねぇ、ってそんなに魅力ないかな?」と、若干涙目になりながら訴えたのだ。


 唐突な野生のJKのに、この「僕」はかなり動揺してしまって、迂闊うかつにも顔を赤らめながら「ぐぬぬぬぅ」と思わず声を漏らしながら焦りまくってしまう。


 すると間髪入れず野生のJKに「うわ、マジキモい」と、この世の終わりが訪れたかの如くまゆひそめられてしまった。あまつさえ「しかも鼻毛まで出ちゃってるし。真剣な顔になっちゃって、クソダサ過ぎ」とののしられる始末だ。


 ……くそう、野生のJK風情に、ほんの僅かでも心を動かすとか一生の不覚である。……あーあ、やっぱし改めて嫌いになったわ。はよこの家から出てけ、こんちくしょうめ。


 それから超絶悔しかったこの「僕」は、その日に速攻で鼻毛用ワックスを買い込みまして、自身の鼻毛を根こそぎぶっこ抜いて処理してやった。ざまあご覧あそばせ。これでもう鼻毛が出ているなんて二度と言わせねえぜ。


 ↑以上の様な事があってから、何やかんや数日後の事である。↓


 生き物が生命を維持する上で外せない物の一つが「食」である。


 この「僕」は主に外食が多く、自炊は全くしない主義である。一人焼肉とか全然へっちゃら最高です。その様な飲食店に足を運ぶ事すらも面倒臭い時などは、それこそデリバリーを利用したり、近所のコンビニやスーパーのお弁当かお惣菜で、ちゃちゃっと済ます事が多いのである。


 一方、野生のJKはと言うと、まあ、何処かで勝手に何かを食べている御様子だ。ちょいちょい、この「僕」の買い置きしていたスイーツが食べられているが、十中八九野生のJKの仕業であろう。


 そんなある日の事、この「僕」が仕事を終えて帰宅すれば、食欲をそそる良い匂いが部屋全体を包んでいる。


 その理由は直ぐに分かった。


 野生のJKが作った手料理が食卓に並べられているのが発生源であったのだ。


 この「僕」が「これは一体何事であるか」と野生のJKに問いただすと「晩ご飯を少しだけ作り過ぎちゃったから、この「僕」に食べてもらいたい……もとい、恵んであげる」との事である。


 それのみか、野生のJKがのたまうには「これからも、あーしにキッチン周りを任せてくれれば、引き続いて、この「僕」の分も作ってあげても良いよ」ってな事らしい。


 ふむう、野生のJKの手作り料理は見た目も美味しそう映えであり、食してみれば味も中々の絶品エモい。専門の料理店と比べても対等にやり合えるのではないかとも思える出来栄えであった。要はプロ料理人並み映えとエモが最優先よ。


 ふうむ、流石は野良で至る所を渡り歩いている野生のJKと言った所であろうか。自然と舌も肥えてグルメになってしまうのは自明の理なのであろうな。


 ついでに各地を渡り歩く野生のJKなので、身体的にも非常にたくましくきたえられるのでありましょうな。


 昨今は男女にかかわらず、非力な人間が増え続けているこの現代社会にて、何とも頼もしい限りじゃないかね。


 ふむふむ、それならばこちらとしても有難いと考え、この「僕」は野生のJKの提案に全力で乗っかる事にしたのだ。


 すると野生のJKは「食材やらの管理もしたいし、預金通帳をあーしに託してよ」と言う。かてて加えて「今後の事も考えて、お小遣い制にするからお財布も渡してヨロー」と続けた。


 むう? 流石にそれはどうだろうとは一瞬思ったのではあるが、透かさず野生のJKは「そしたらオプション特典として、この家の掃除、洗濯、その他諸々の家事労働も請け負ってあげる」との事であった。


 マジかいな。それやったら話は変わって来よんで。←何故に急な関西弁(笑)


 そいつはこちらサイドとしても願っても無いってな事で、この「僕」は全財産を野生のJKに預ける事を決意したのであった。


 いやはや、今思えばこの時より、この「僕」の生活が徐々に変化していったターニングポイントだった訳である。


 この「僕」は今まで何をするにも基本一人で行動していた。だって友達とか居ないぼっちだものね。当然遊びの面だってソロプレイばかりであった。


 そんなで、例えばストレス解消or大きな仕事が終わった後なんかは、この「僕」は一人カラオケに赴くのである。そんな折に、野生のJKが必ずくっ付いて来る様になった。


 一人カラオケのメリットと言えば、何回も同じ曲を歌ったりだとか、歌を失敗しても途中でやめ放題だったりだとか、どんなに苦手な歌であろうとも、誰に気兼ねする必要も無く思いっきり歌が歌える所である。


 そいつが他者の居る事によって、べてが瓦解してしまうのだ。全くもって迷惑な話だよ。


 ……と思っていたのだが、誰かと御座すのならばデュエットなんかも一緒に歌えるし、店で貸し出しをしているコスプレ衣装なんかも誰か相方が居てくれる事により、躊躇ちゅうちょなくレンタルできるし、今まで頼んだ事も無い様なメガ盛りスイーツメニューも野生のJKが注文してくれるわで、これはこれで楽しいものだなと、新たな発見があったのだ。


 それから、この「僕」は遊園地など、例えば有名なT〇RやU〇Jみたいな某巨大テーマパークだとしても、余裕で一人で楽しめる位には鉄の心臓をお持ちの種族である。


 いや、むしろ一人の方が行動力も身軽になり、多くのアトラクションを回る事が出来るのだ。


 しかも遊園地によっては、空席を埋める目的で、おひとり様専用レーンを用意しているアトラクションがあるのだ。それだと通常待機列と比べて、待ち時間が半分~1/4程度になるっちゅう事で、アトラクション好きには素晴しきシステムなのだよ。なので、プラス面まみれだと、この「僕」は考える。


 そんなで、ご多分に漏れず、これまた野生のJKと遊園地巡りに行く羽目に。全くもって迷惑な話だよ。


 ……と思っていたのだが、この場合、たった一人増えた程度では、アトラクションを回るのにそこまで不便でも無かった。


 むしろ感想を言い合えるのは秀逸な点だと感じる事も出来たし、それはこれから他にも訪問する事となった別場所である、映画館、美術館、水族館、ライブ、スポーツ観戦等々の様々な箇所でも共通で、一人で居るよりも楽しいと思えるこの「僕」なのであった。


 ふむ、二人で遊ぶと言うのも割かし悪くないものである。この「僕」にとって、とても良い経験となった。


 何よりかにより、野生のJKの私服が拝めるなど、毎回刺激的であり、新鮮であったのだ。


 あとは野生のJKとの生活も一年以上ともなると、夏祭りやら花火大会やらのイベント事なんかも、この「僕」と野生のJKの二人して、当たり前の様に行く形となっていた。


 野生のJKは飛び切り気合を入れた髪型に浴衣姿と言った、熟女大好きなこの「僕」でも、思わずドキッとしてしまった位には艶やかであった。


 あっ、そうそう。そう言えば海とか川へも野生のJKと遊びに行ったっけか。


 これまた水着もエネルギッシュな彼女の事だ。まばゆいばかりにビキニが似合っていたっけな。


 これらの二人して遊んだ思い出は、この「僕」の携帯にも、動画と画像と言った形体でしっかりと保存されていたりする。また、PCの方にバックアップも抜かりなしである。


 おっと、勘違いしないでくれたまえよ。これは飽くまでも野生のJKと暮らした学術的な意味合いでの記録でありますからな。それ以上でもそれ以下でもない訳である。


 さてさて、野生のJKがこの「僕」の眼前に立ち現れてから、大体三年の月日が流れた、とある日の事である。


 野生のJKは僕の家から忽然と消えたのである……常に着用していたブレザー制服をがっつり残してね……。


 野生のJKの寿命は通常のJKの在学期間と同じで、約三年となっている。


 ……くっ、お別れの挨拶も無しだってのかよ……下着も上下バッチシ残していきやがってからに……。


 ちなみに僕の通帳と財布もダイニングテーブルの上に残してあった。驚くべき事に、彼女に預けた時よりも、貯金額が大幅に増えていたのだ。


 ……ふん、律儀に返却しなくとも、勝手にパクったとて、誰もとがめる奴は居らんのにさ……。


 ここでの僕の次なるリアクションは、まさかの大号泣である。


 無論だが、これは貯蓄額が増えていた事による嬉し泣きでも、野生のJKが作る美味しいご飯が食べられなくなってしまった、がっかり涙でもない。


 野生のJKが……彼女がもう此処ここには居ない現実に対しての、この「僕」の素直な反応である。


 きっとこの「僕」は、いつの間にやら彼女の事が、純粋に好きになってしまっていたみたいだ。


 少なくとも彼女を失った事により、こうしてみっともなく嗚咽をもらす程度にはね。


 ……取り合えずこの「僕」は、残された彼女の衣服類をおもむろに両手で拾い上げてみる……。


 洗濯前であるので、当たり前だけど普通にちびっと臭かった。


――それから数日後。


 これまた突然にだが、とある一人の女性が、この「僕」の自宅を訪ねて来た。


 一瞬誰だか分からなかったのであるが、紛れもなく三年もの間、この「僕」の家に居座った野生のJK……いや、元野生のJKと言うべきか……その彼女の姿がそこにはあった。


 そう、三年と言う期間は、飽くまで「JK」としての寿命であり、そこで彼女の人生が終了した訳では無かったのである。


 彼女は頭髪も随分と落ち着いた色となり、服装もシックな装いとなっていた。


 稀に気に入った場所に舞い戻って来る野生のJKが居るってな話は聞いた事がある。そうなると、以前ほどの害獣レヴェルではなくなるらしく、ほぼ普通の人間と変わらない風になるそうなのだが、はてさて……。


 帰って来た元野生のJKは、ぐいぐいとこの「僕」に自分のスマホを見せつけてくる。


 そこには彼女自身が開設したと思しき動画チャンネルが映し出されていた。


「今はまだ再生回数も一桁台だけれども、将来的には云億回数を叩き出してバズりまくる予定だからね♪」と、彼女は仰っていやがります。


 元野生のJKはこれ以上ないくらいのドヤ顔である。


 そうして矢継ぎ早に「なので、あーしの稼ぎは完璧だから、これで又ここに住まわせてね♡」と、彼女はポップに宣言しやがります。


 やれやれ、その彼女のノープランな野望がどこまで達成するかは未確定ではあるが、この「僕」と元野生のJKとの生活は、まだまだ終わりそうもないのは確定したみたいである。


 おわり。


 ↓【おまけ】↓


 Q:それはそうと、野生のDK(男子高校生)は存在しているのでしょうか?


 A:(´・ω・`)知らんがな。

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