フェアリードロップ!

NATSURI

第1話 波乱のクラス替え

ピピピピ、ピピピピ。

「うるさいなぁ、何の音?」

寝ぼけて音が鳴っているものを捕まえる。

「あぁ、アラームか。今何時だろ?」

そう言って時計の時間を確認してみると...。

「えぇー、七時⁉」

思いのほか遅い時間だということが分かった。新学期早々から遅刻なんてまっぴらだ。私は急いで起きて洗面所に向かう。

「しずく、おはよう。今日起きるの遅いね?」

そう言ったのは私の姉であるまどかお姉ちゃんだ。

「お姉ちゃん。そう思うなら起こしに来てよー...。」

「ごめんね、お姉ちゃんも今日から仕事だから朝からバタバタしてて。」

「そうやったね、ってのんびり話してる場合じゃないー!」

姉の高宮まどかは今日から私の高校・桜ケ丘高校の教師となる。これから学校にお姉ちゃんがいるということはうれしいような少し恥ずかしいような微妙な気持ちだ。

「お姉ちゃん、何時に家出るの?」

「うーん、八時くらいかな?」

「じゃあ一緒に行こ!」

「そうね。」


急いでご飯を食べて、身支度を整えいざ出発!

「行ってきまーす!」

そう言って家を出ると家の前に楓がいた。彼は瀬戸楓。いわゆる幼馴染ってやつだ。

「しずく、まどか姉おはよう。」

「おはよう、楓!」

「おはよう、楓くん。」

「私と楓、何組になってるかなー?お姉ちゃんは何年生の担任かもう知ってるの?」

「知ってるわよ。あっ先に言っておくけど、まだ教えられないからね?」

「そのくらいわかってますよ。」

そんなたわいもない話をしているうちに「キャー!」と黄色い声が聞こえてくる。

「楓様と雫様だわ!」

「ねえ、そのお隣にいらっしゃるのってもしかして...?」

「まどか様⁉」

「あの、雑誌”KIRARI”の伝説の読者モデル・MADOKA様⁉」

そうだ。姉は高校生の時、雑誌の読者モデルをしていた。姉が表紙になった月の”KIRARI”は必ず販売日の翌日に売り切れてしまうことから”伝説の読者モデル”と言われた。

「どうしてまどか様がうちの学校に?」

「なんで楓様と雫様と一緒にいらっしゃっるの?」

周りの黄色い声は私たちが校舎の中に入ってからも止まることがなかった。


お姉ちゃんと靴箱の前で別れてから、私と楓は掲示板にクラスを確認しに行く。

「私二組だぁー。楓何組だった?」

「俺も二組だ。今年も同じだな。」

「やったぁ!」

そんな会話をした後私と楓は自分たちのクラスに向かった。

このクラス替えがこれからの一年間を大きく変えるとはこの時の私には分からなかった。

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