知らない人には話さない。
親密な人には話せない。
でも、誰かに話してみたい。
そういう悩みや疑問を持ってる人、世の中には少なからずいらっしゃいますよね?
この小説に登場するバーにも、上記のような悩みや疑問を抱えた人たちが訪れます。そんな悩みや疑問を抱えた彼らの話を聞くのは、このバーのマスター。
バーのマスターと話をすることで、お客さんの悩みや疑問は解消していく???
基本的には1話完結で、1話ごとにマスターと話すお客さんが変わっていくタイプの物語です。
他人との関係を深めすぎないマスターのキャラがいい!
根掘り葉掘り聞かれないからこそ、お客さんたちは安心して話せるのかな?って思いました。
それに、マスターのもとに持ち込まれる悩みや疑問のチョイスのセンスもとてもイイです。読んでいて何度もハッとさせられることがありました。
短時間で新しい視点にサクッと触れられるクスパもクオリティもいい作品です。
昨今ようやく問題視されてきた「普通」。
進学して大学に入っていい企業に就職するのが幸せ。
結婚して子供を持って家庭を築くのが幸せ。
青春、という言葉でなんとなく括られた、夏の花火みたいにパッとして美しく舞い、いつしか記憶の中だけになるものがあるのが幸せ。
そうでしょうか?
私はマスターのような生き方も幸せだと思う。
話に出てくる子供の周りには、上のような固定観念があるのかもしれない。
でもこの子はきっと、疑問に思う力があるだけに、この子なりの生き方を見つけられる気がします。
正解はないし、不正解もない。
でもこのお話の中に出てくるそれぞれ個性的な方々に囲まれたら、なんとなく居心地が良さそうだろうな、とも思います。
夜風の中で読みたいような掌編です。
料理メニューの充実したバーのマスターのところに
客がきて話すというスタイルの小説です。
タグには山もない、オチもないとあるのですけれど、
こんな終わり方もあるよねと思います。
このバー、Lazy というのですけれど、
マスターはハードロックファンだとわかります(わたくしレベルになると勝手にわかってしまう)
ディープ・パープルの「レイジー」ですな。
きっとメニューにもハードロックにからめた名前がついていることでしょう。
わざわざこのバーを選んで客になっているということは、
客もハードロックファンです。
うれしいなあ、ハードロックファンばかりが登場していて。