悲しげに咲く花に君の面影をみた

作りが上手い。
冒頭と結末がつながるように書かれている。
「アベリアの花言葉が謙虚だということは、やけに印象に残っていた」とある。
彼女の性格は謙虚だったのだ。

亡くなったとき、彼女の心臓がリンドウの花になっている。
リンドウはまさに彼女の心。
花言葉は、「悲しんでいるあなたを愛する」「正義」「誠実」である。
彼女の気持ちは、自分が死んで「悲しんでいるあなたを愛する」となる。
つまり、彼女は主人公を愛していた。

ベッドの影で見つけたシオンの花言葉
「追憶」「君を忘れない」「遠方にある人を思う」である。

彼女は最後まで、主人公のことを忘れず思っていたのだ。
そんな彼女の声が、風が凪いだとき、主人公に届いたのだろう。