巡り
――ピピピピピピピピ――
携帯にセットしたアラームが鳴っている。
俺は起きようとするが、体が重いし、頭も痛い・・・
『雅人が悪いと思います』
「反省しております・・・う、頭が痛い・・・」
携帯を取り、アラームを止める。
「でも、あんなちょっとしかやっていないのに、意識を失うのか?」
エマが言っていたが、不慣れだと魔力量の調整が上手くできず、すぐに枯渇するらしい。
オレはステータスを確認してみる。
九瀏 雅人 Lv.6
体力:45
魔力:38
筋力:41
俊敏性:35
命中率:89%
回避率:61%
運:25
属性:雷 Lv.1
スキル
【仮面武装】Lv.1 ・ 【擬似脳導並行処理能力】Lv.1 ・ 【※※※※】
あれ?
若干、魔力量が増えている?
何故だ?
『魔法を使用して枯渇するギリギリまで行うと、魔力量が少しですが増えるのです』
「マジっすか⁉」
「マジっす!」
これからは少しずつ魔法の練習もやって行こう。
『私が死なない程度に調整しますので、好きなだけブラックアウトしてくださいね』
その返しは怖いな・・・
「とにかく魔力量が増えるのであればやるしかない!エマ頼むな!」
「承知しました」
すぐに身支度をし、ゲートへと向かった。
ゲートに入り、豪鬼さんに言われた課題をこなしていく。
「99・・・100っと!よしっ!課題はクリアっと!」
2時間弱で課題をクリアし、豪鬼さんと砕さんがいる場所へと向かう。
「失礼します!こんにちは、砕さん」
すると、砕さんがこちらに気付き、手を振っている。
「やぁ、こんにちは、雅人君」
「砕さん昨日はお世話になりました!」
「いやいや、こちらこそ。今から蒼海さんを呼ぶから、そっちの部屋で待ってて」
昨日教えてもらった部屋に移動する。
すると、部屋に入って1~2分ぐらいで、豪鬼さんは現れた。
「やぁ、こんにちは、雅人殿!待たせてすまない」
「いえ、全然待ってませんので、大丈夫です」
「そう言ってもらえると、助かるよ。それでは、早速始めるとしますか!紅林さんうるさかったら言ってくれ!」
「大丈夫!そこは防音・防壁は完璧だから!思う存分やるといいよ~」
「だそうだ!それでは始めようか!」
「はいっ!よろしくお願いします」
「うむ!それではまず、突きから取り掛かろうか」
「わかりました」
俺はすぐに突きに取り掛かる。
――1時間後――
「よし、それまでっ!」
「はいっ!」
1時間近く突きをしていたが、疲れは感じない。
「雅人殿は、全然息が上がっていないな。感心感心!次に―――」
それから、豪鬼さんと組手を行い、気が付くと、お昼を回っていた
「お~い、もうお昼を過ぎたから、そろそろお昼にしないかい?」
砕さんが声を掛けてくれる。
「お⁉ もう、そんな時間か?それではお昼休憩を取ろう」
「ハァ、ハァ、わ、わかりました・・・」
突きの時とは違い、肩で息をしてい
豪鬼さんとの訓練は、実戦さながらで、とてもじゃないが、手を抜くことは無理だ。
かと言って、手を抜いている訳でもなく、それだけ、豪鬼が強いのである。
豪鬼さんは、全然息も上がっておらず、むしろ、めちゃくちゃ加減をしてくれている。
そして、訓練中でも、しっかりと的確なアドバイスをくれるので、さすがとしか言いようがない。
「いや~、2人ともお疲れ様!雅人君、はい、これお弁当とお茶だよ」
「えっ⁉そ、そんな、お弁当をいただくとか⁉自分は大丈夫なんでっ!」
「雅人君、これは、僕の娘が作ってくれたお弁当なんだぁ!娘は毎日大勢いる子どもたちの分も作ってるから、2人分増えたところで大した事ないと言っていたし、人間界に、知り合いが出来たと言ったら、娘からお弁当を作りたいと言っていたくらいだ!よかったら食べて、感想を聞かせてくれると嬉しいんだ!それに、雅人君お昼持ってきてないだろぅ・・・」
「は、はい・・・」
「これからは娘が作ってくれるから、君は訓練にだけ集中するんだ!わかったね?」
「そ、そんな、悪いですよ!そ、そうだ!お金払います!払わせて下さいっ‼」
「お金を取る程、手間は掛かってないから大丈夫」
「で、でも・・・」
俺がうつむいていると、砕さんは、俺の肩をポンっと叩く。
「なら、早く強くなって、もし、私たち家族が危ない目に遭った時、助けてくれるかい?」
砕さんはおどけながら言ってくれている言葉だが、それは俺に変な気を利かせない様にしてくれているんだろうなと思った。
だから、逆に断る事は失礼だと思い、お願いする事に決めた。
そして、砕さんの期待に応えられるよう、もっと頑張ろうと心に決めた。
「砕さん・・・よろしくお願いします。そして、砕さんの期待に応えられるよう、精進していきます」
俺は砕さんに一礼すると、砕さんは困った顔をしていた。
「そんな、大袈裟な・・・でも雅人君の気持ち、しかと受け取りました!あはは」
すると、横にいた豪鬼さんが喋り出す。
「あ、あの・・・良い話のところ、すまないんだが・・・紅林さん・・・私の分もお願いできないかな~っとか言っちゃったりして・・・(笑)?
俺と砕さんは、一瞬キョトンとするが、豪鬼さんの気恥ずかしそうな姿を見て、2人して笑ってしまったのであった。
「「いただきますっ‼」」
俺と豪鬼さんは、砕さんの娘さんが作ってくれたお弁当をいただいています。
豪鬼さんの分は、砕さんが前もって、娘さんに頼んでくれていたみたいで、俺と一緒に食べています。
「「⁉ッ」」
俺と豪鬼さんは、お弁当を一口食べると、同時に止まる。
「な、なんだ・・・これ⁉」
「な、なんと・・・⁉」
口に入れた途端、一瞬だが、心臓が止まりかけた!
砕さんの娘さんが作ってくれたお弁当は・・・率直に言わせてもらって、いや、忖度抜きでメチャクチャ美味い‼
「美味いっ‼」
「美味い!そして美味しい‼」
「いや、言ってる事は同じだけど、でも言いたい事は分かります‼」
それだけではない!
「なんか、体中から、力が湧き上がるような・・・」
「うむ、確かに力が漲る感じが沸々と・・・」
「実は、うちの娘は料理にバフを掛けられるスキル持ちでね・・・調理師でもあるんだ」
「ほんとですか⁉」
「それはすごい‼」
「娘が、僕にお弁当を作ってくれるようになってから、力が漲るようになったんだ。それで、食べていく事で分かったことなんだけど、娘は料理にバフを掛けられる珍しい調理師だとゆう事が分かったんだ」
「だから、力が漲ってくるのか・・・」
「うむ!これなら疲れも吹っ飛びますな‼」
「うん!娘のおかげで、仕事も休まず出勤できるし、体も丈夫にもなって、本当に助かってるよ」
「あっ⁉」
バフで思い出した!
「どうした雅人殿?」
「実は昨日、俺に属性が付きまして、何度か練習をしている内に、気を失いまして・・・」
「あぁ、それは魔力を極度に使い過ぎた副作用だね」
「うむ・・・体が極度の負荷を抱え込まないようにするため、本能的に意識を切るのだ」
「てことは、相当無理をしたんだね・・・下手したら死んでいたかもしれないよ・・・」
「す、すいません・・・以後、気を付けます」
豪鬼さんと砕さんは真剣な表情で見つめてくる。
俺はエマ、豪鬼さん、砕さんに心配をさせた事を反省する。
「それで、今日目覚めたら、魔力量が上がってたんです」
「それは、鍛錬と同じで、体に負荷が掛かるトレーニングをする事で、筋肉が大きくなったり、走る事により俊敏性が上がるように、魔法も魔力をギリギリまで使う事により、負荷が掛かり、魔力量も上がるのさ」
「なるほど・・・だから、魔力が上がったんですね」
お2人には申し訳ないが、エマに教えてもらって知っているとは言えない。
話を切り出した俺が悪いんだ。
『ちゃんと心に刻んで下さいね!お2人も心配なさってのお言葉です!』
はい、すいませんでした。
「そうだ!僕達の知り合いで、魔法に詳しい人がいるんだけど、今度紹介してあげようか?」
「え、いいんですか?」
「うん、全然いいよ」
「ありがとうございます」
「雅人殿、よかったな!」
今までこんな機会は無かった・・・
こんなとんとん拍子に、教えてくれる人が見つかるとは・・・
俺はこの巡り合わせにとても感謝していた
スティール&ラン ~行動に移そうとすると、必ず邪魔が入るのですが、なぜ邪魔が入るのか科学的に証明するのは難しいそうです・・・・・・が、それを壊すことは可能みたいだ~ 幾星霜 @ikuseisou329
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