自由奔放ながらもしっかりした芯のあるへんてこ令嬢

 顔の傷に悩まされる貴族の令息ダニエルと、一風変わった貴族令嬢オリヴィアの、出会いとそれからの物語。

 貴族もののラブロマンスです。
 紹介文のあらすじから思い描いたもの、見たい場面や期待したシュチュエーション等々が、きっちりその通りに(そしてそれ以上に!)提供されることのありがたさ。
 ホスピタリティが高いというか、もう本当に嬉しいし楽しいお話です。大好き。

 魅力はやっぱり登場人物たちの性格や造形。
 といいますか、「へんてこ令嬢」って響きがもう好き。
 自由奔放で、周囲からはいろいろ眉を顰められたりしながらも、でもビシッと揺るぎない自己を持ったオリヴィアという人間。
 またそこに加えて主人公ダニエルの、その実直な性格の好ましさも。
 顔の傷にまつわる逸話、貴族の女性が苦手になるに至るまでの経緯など、その細やかな質感にぐいぐい引き込まれます。

 そのうえ脇役まで素敵というか、キリエ様の「いい脇役」としての動きがとっても好きだったり。
 わずか5,000文字強とは思えない濃密な満足感のある、欲しいもの全部のせのラブロマンスでした。