第15話

あの騒動から4ヶ月たった。

壊れた建物は徐々に元に戻ってる。

彩沙さんは、今も治療に専念している。

「こんちわー。」

「あ、来たか夕大!」

「調子どう?」

「ん〜放射線がちょうど良く当たってるらしい。まぁ苦しい事には変わりないけど。」

「頑張って。良くなったらパフェ奢るよ。」

「しゃーない、頑張るか〜。」


先生(父親)とも相変わらずだ。研究の手伝いばっかさせられてる。まぁ楽しいっちゃ楽しいからいいんだけど。

「ねぇ、父さん。これここでいいの?」

「あぁ、そこに線香さしてくれ。」

「は〜い。」

今日は母さんの命日らしい。

どうか安らかに眠っててほしい。


僕達は、みんな悩みを持っているもの。

目に見えなくても、ちゃんとある。

悩みは言わば空っぽの箱みたいなもの。

空っぽで、どうしようもない不安だけが詰まってる。

解消するには何か別のものでいっぱいに埋めるしかない。

そうやって、人は皆、生きていくしかない。

その箱を詰める過程で、幸せを少しずつ

少しずつ。

詰めていければいい。


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君と海淵から青空へ 木村泰紀 @kimura_yasuki

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