さよなら、ありがとう、好きだよ、好きだよ
- ★★ Very Good!!
人を好きになるのは、こういうことかもしれない。
荒川が変わったきっかけは高校二年のとき。
可愛い小松沙夜と隣の席になり、声をかけてくれたのがはじまり。
席替えで離れたあとに感じた気持ちから、彼女に好意を抱いていると確信し、「小松さんの笑顔を俺がもっと咲かせたい」と思うまでに至ったことが語られている。
どういう経緯を経て、人を好きになるのかが丁寧に書かれている。
彼女と出会い親しくなるも席が離れて不安をおぼえ、彼女が好きなんだと気づく。
本作には山波光輝というライバルが登場する。
二人は彼女が好きで、どちらが告白するかで勝負する。
実にわかりやすい展開。
どうして最後、山波の一人称で書かれた部分が必要なのだろうと考えた。
一人称俺なので読みにくいし、蛇足めいた気もした。
したのだけれども、山波視点の話がないと、ご都合主義な話に思えてしまう。
なので、山波視点の話は必要。
むしろ本作は、山波光輝の話といってもいい。
山波光輝は良いやつなんだ。
彼にも早く、すてきな彼女ができることを願う。