ヒロインは王子の急接近に戸惑いながら、ねーよ感と戦う
- ★ Good!
書き出し、図書館にいたヒロインの「王子」像はぎゅっと潰されます。大胆、かつ、少女には想像をはるかに超える不適切な内容を含む本数冊を王子が図書館に返却した本から発見したのが理由です。
そのあとの完璧な王子の描写を読むと、これくらい人間味があっていいんじゃない? と個人的には思いましたが、清純な少女には一大事。
そしてなぜか王子が急接近してくる。なぜ? 秘密の共有? 不適切な諸々をなす対象はヒロイン? ねーよ。
ドタバタのあと、静かな時間が訪れます。その時間を満たすのは、ふたりにとって大切な存在、「本」。小さい頃からヒロインがたいせつにしていた読書への愛ゆえの思い出が、王子がヒロインを愛しみ、近づいた本当の理由だった。素敵です。
なお、「ねーよ」感は結局、ハッピーエンドにおいても、払拭されることはありません。ヒロイン気の毒。もう逃げられない。いや、(略)
ハラハラしながら、登場人物それぞれから滲み出る人柄で安心感が保たれ、王道のエンディングににっこり。いいおはなしでした。