記憶のない状態で始まる異常な実験

 真っ白い部屋の中、記憶を喪失した状態で目を覚ました、なんらかの実験の被験者のお話。
 より正確には、「その被験者の残した音声記録」の体裁を取った物語です。

 うわー面白かった!
 ゾクゾクしました。なにこれすごい。

 いわゆるソリッドシチュエーションスリラー、急に限定的な状況に放り込まれたところから始まるお話。
 被験者同士のバトルロイヤル的な殺し合い、という意味では「デスゲームもの」とも言えるんですけど、でも読み味としてはもう全然別物。
 まるで何かの思考実験のようなところが本当に最高でした。グイグイ読まされちゃう。
 ホラーですけどSFっぽい、というか、たぶんSFでもあると思います。

 あんまり仔細に語ってしまうとネタバレになってしまうのが惜しい……。
 限定された状況に対して、主人公が適応してゆく……というか、そこに適応した形に状況そのものが収束していく、その感覚にひたすらゾクゾクさせられたお話でした。
 面白かったです! おすすめ!