もしも、もしも

高黄森哉

2パターン

・一つ目



 僕は自動車評論家の話を聞く。国産車と外車がずっと耐久的試験をさせられている。僕は国産車を応援した。すると外車がエンジンを壊した。オイルが発熱しすぎてしまったらしい。外車のエンジンは脆いのだな、と思った。だから安いのだ。


 僕は仕度を済ませ学校へ行く。とても平凡な日常が住宅街の風景として続いている。僕の通学路にアクシデントがあれば、この日常の出口となるだろうが、生憎、平坦に続くのみだ。


 僕は理系に進んだ。だが、だんだんと意欲が落ちている。皆と同様に授業を聞き流す。聞いたって理解できないからだ。もともと文系志望だったのだが、どうしてここにいるのか分からない。文系なら理解できただろう。文系は簡単だ。感覚で解くことが出来る。


 僕は廊下を歩く。資料を積んだ人が僕の傍を通り過ぎる。あの荷物を落としてしまったら。きっと僕は駆け付けるだろう。そしてそこから始まる物語があるというものだ。


 ヤンキーとすれ違う。そのヤンキーは軟派を始めるのだ。さっきの女の子は嫌がる。そこに割って入っていく。そんな妄想をしてみる。現実はそこまで甘くない。ヤンキーは体を揺らしながら、彼の教室がある方向へと進路を変える。



・二つ目



 僕は自動車評論家の話を聞く。国産車と外車がずっと耐久試験をさせられている。僕は国産車を応援した。すると国産車のエンジンが壊れた。安さの秘訣は、実用のギリギリまでエンジンの性能を煮詰めているからだろうと、感心した。


 僕は仕度を済ませて学校に行く。車が壁にぶつかり立ち往生している。僕は別の通路を通った。自分が来たところで出来ることは騒ぐほかないだろう。ならば邪魔しないのが得策なのだ。平坦な道路が続く。


 僕は文系に進んだ。僕は授業を聞き流す。聞いたってわからないからだ。志望先を完全に間違えた。もし理系を選べたらどれほど楽だったろう。理系の科目は答えが必ず決まっている。感覚に頼るところが少ない。


 僕は廊下を進む。資料を積んだ人が、僕の真横で、そのバランスを崩し、へたり込む。ここで助ければ、気があるとされて、嫌がらせを受けるだろう。落とさなければお話が出来たのに。そこから始まる話があるのだろうか。


 ヤンキーが軟派をしている。後ろのほうで会話が聞こえる。彼女の資料を拾う。もし無関心型ならば、今からでも僕が助けてやっても良かった。でもそうはならなかった。いまさら助けに向かうなどしらじらしい。



・統合



 まあ、なんにせよ僕は運が悪いのだ。ガチャガチャに外れた。何が入ってるのか知らない。親かもしれない、運勢かもしれない、はたまた人生かもしれない。でもまあ、それが外れようが、僕は悪くないのだ。

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もしも、もしも 高黄森哉 @kamikawa2001

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