きっと何よりも大事でかけがえのない「何もない」時間

 卒業する男子高校生と、彼が想いを寄せる美術教師の、最後の一日のお話。

 ただただ素敵な恋のお話です。もう本当に綺麗。
 甘酸っぱい思春期の片思い……には違いないはずなのに、シュッと上品でスマートで優しい感じがすごい。

 紹介文にある通り、「何もない」といえば確かにそう。
 立場を考えたら安易に何かあっちゃ困るんですけど、それでもその何もない中で、しっかり恋をしているところがとても胸に響きます。

 冒頭の場面、あっさり恋に落ちちゃう瞬間の説得力が大好き。
 罪作りな先生の魅力も、それをどうにかして振り向かせたい主人公も、両方とても好ましくて嬉しいお話でした。