分厚い甲羅に隠されたヒロイズムとユーモラス。そして、すけべ心。

僕は、何を見せられているのか。一読して、そう思った。
物語は、カニ男がバーで女を口説く場面から始まる。
「カニって書ける?」隣に座ったカニ男にこんなことを言われて笑わない人なんているのだろうか。

乾いた人生に潤いを求める超人は、例え分厚い爪と脚を有していても、中身は一般人と同じ一人の男。
人外といえども、ハサミでの女性の扱いはお手の物。
むしろ、普通とは違うからこそ目が離せないのかもしれない。

余談で、シオマネキは自慢の爪でメスに求愛するらしいので、ミスター・クラブはたぶんそれでしょう。

物語の最後に垣間見る、彼の悲哀もどこか滑稽さを感じられる。

今夜はカニ鍋だな。