愛とはなにか、いかにしてそれを証明するか

 少し先の未来、とある同性カップルの口論から始まる物語。

 百合SF、あるいは愛についてのとても真面目なお話です。

 まさにSF、といった趣の管理社会が魅力的なのですけれど、特に本作の場合は「その中に生きる登場人物たちの選択」がなお素敵。
 もっというなら、その世界のあれこれを『愛』という観点から切り取っていくところ。

 恋人同士が愛を語らうお話には違いないのに、心ときめく甘い蜜月のような場面が一切ないのもものすごい。
 わりとずっとピリピリしてます。本当にシリアスでシビアなお話。

 ある種の思考実験的な楽しみもありつつ、思惟思索そのものの面白みもある、読み応えたっぷりの真面目なSF掌編でした。