漫才:副業を探そう

超時空伝説研究所

漫才:副業を探そう

 A:「何とかしてくれませんか?」

 B:「いきなりだな。何の話?」

 A:「物価が上がってるんです」

 B:「確かにね。世界中で物の値段が上がってますね」

 A:「対策を考えたんで、聞いてください」

 B:「すごいですね。ぜひ聞かせてほしいわ」

 A:「副業をやろうと思います」

 B:「ほうほう、副業って何をやるつもり?」

 A:「職探しも簡単じゃありませんからね。まずは手近なところから」

 B:「というと?」

 A:「手っ取り早く、総理大臣でもやってみようかなって」

 B:「いや、無理でしょ! なりたくてなれる職業じゃないって」

 A:「大丈夫。ネットで調べてみたんですよ。そしたらね?」

 B:「はい」

 A:「(内緒話風に)普通免許がなくてもなれるらしいですよ」

 B:「免許があってもなれないよ! あなたには無理!」

 A:「国会で選ばれるだけでなれちゃうんです」

 B:「それが大変なんだよ」

 A:「大丈夫! 俺はお前が思ってる以上に人あたりがいいから」

 B:「ちょっとやそっと人が良くても、総理大臣は無理だって」

 A:「昨日もおばあさんに電車の席を譲ったよ?」

 B:「それで総理大臣になれるんだったら、日本中総理大臣だらけだわ!」

 A:「(鼻で笑いながら)何言ってんの、お前? 総理大臣は一度に一人しかなれないんだぜ?」

 B:「知ってるよ! お前こそ何言ってんだよ!」

 A:「じゃあ、F1レーサーでいいよ」

 B:「でいいよって、何だよ。F1レーサーだって簡単になれる職業じゃないからね?」

 A:「でも、普通免許要らないらしいよ?」

 B:「さっきから普通免許を基準に考えるの止めなさい。あの人たちは国際A級ライセンスとか持ってるの」

 A:「えっ? A級なの?」

 B:「そうだよ」

 A:「そりゃすごいな。俺なんか3年に一回更新に行ってるのに」

 B:「『永久』の字が違うな。永久に免許が継続するわけじゃないから」

 A:「何だ。じゃあ、大したことねえじゃん」

 B:「大したことあるわ! あとお前、交通違反で捕まってるな?」

 A:「しょうがない。宇宙飛行士になるわ」

 B:「普通の仕事探せよ! 宇宙飛行士っていうのは、選抜試験が厳しいんだから」

 A:「いや、調べてみたら大したことないらしいよ」

 B:「どこがだよ?」

 A:「車庫入れも縦列駐車もないらしいぜ」

 B:「やっぱり普通免許じゃねえか! いい加減にしろ!」


(おわり)

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